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中国・広州の市内バスの乗り方ガイド(アプリ・料金・乗り方)

【中国・広州在住者執筆】広州のローカルにはなくてはならない存在の路線バス。乗るのはちょっと抵抗があるという人も多いのではないでしょうか。今回は路線バスの乗り方を詳しく紹介していきます。

広州に来たら、一度は乗っておきたいのが路線バスです。
外の景色が見えて楽しいことに加え、乗客の明るい笑い声や、
熱心なおしゃべりに耳を傾けてみるのも、なかなか味があって良いものです。
ただし日本のバスのシステムとは少々異なりますので、乗車にはコツが要ります。
この記事で事前に学習して、ディープなバスの旅をお楽しみください。

北京語の“バス”と広東語の“バス”

広州の市バスについてご紹介する前に、
まずは中国語での「バス」という言葉を確認しておきましょう。

北京語(中国の首都北京で話されている言葉です。
ここでは便宜上、普通話と呼ばれる中国語の共通語と同義とします)で「バス」は、
「公共汽车(gōnggòng qìchē/ゴンゴンチーチョー)」
もしくは「公交车(gōngjiāo chē/ゴンジャオチョー)」と言います。

しかし広州では、広東語の影響から、
「巴士(bāshì/バーシー)」という言い方をする方が多いです。
これは、かつて英国領だった香港で、英語の音声(Bus)に似せて作られた
広東語の「巴士(baa1 si6/バーシ)」という言葉が、
広東を窓口として中国大陸にも流入したためです。

「巴士」という言葉は、響きがクールであるとして若者を中心に流行し、
今や北京語の中にも取り入れられ、中国全土で市民権を得るようになりました。
しかしやはり元が広東語ですので、ここ広東での使用頻度は他地域より高めですし、
広東人も愛着を持って使っています。皆さんも「巴士」を積極的に使っていきましょう!

▼英語からの借用語の例

英語 広東語 広東語(北京語発音) 北京語(普通話)
bus(バス) 巴士(baa1si6)バーシィ 巴士(bāshì)バーシー 公交车(gōngjiāo chē)ゴンジャオチョー
taxi(タクシー) 的士(dik1si6)デックシィ 的士(díshì)ディーシー 出租车(chūzū chē)チューズーチョー
cheese(チーズ) 芝士(ji1si6)ジーシィ 芝士(zhīshì)ジーシー 奶酪(nǎilào)ナイラオ
store(ストア) 士多(si6do1)シィドー 士多(shìduō)シードゥオー 小卖部(xiǎomàibù)シャオマイブー

広州市バスについて

広州市バスは、「広州市公共交通グループ(广州市公共交通集团)」(略称:広州公交グループ)
という中国国営団体によって運営されています。
2019年現在、傘下にはタクシーや船舶会社を含む16企業が置かれていますが、
そのうちバス会社の代表格は以下の四社とされています。

1. 広州市第一バス(广州市一汽巴士有限公司)
1952年設立。半官半民企業。
主に広州中心部(越秀区、荔湾区、海珠区、天河区、白雲区)を走るバスを運行。

2. 広州市第二バス(广州公交集团第二公共汽车有限公司)
1977年設立。主に広州郊外(増城区、従化区、花都区、番禺区)を走るバスを運行。

3. 広州市第三バス(广州公交集团第三公共汽车有限公司)
1995年設立。主に広州郊外(黄埔区)を走るバスを運行。

4. 広州電車(广州公交集团电车有限公司)
1962年設立。「无轨电车」(トロリーバス)の会社として発足。現在は一部バス路線もある。

トロリーバス…空中に張られた架線(トロリー線)から電気を受け取って、モーターで走るバス。見た目はバスだが、中身は電車であるため、分類がしにくい乗り物。日本の法令では「無軌条電車」として鉄道に分類されているが、広州ではバスの一種として認識している人が多い。荔湾・越秀・白雲・海珠の4区に路線がある。

 
広州市バスは現在、路線数1,400以上(2017年)、総延長距離26,900km以上(2017年)、
保有車両数14,708台(2018年)を誇り、中国国内でも有数の公共交通会社になっています。
近年は地下鉄の延線工事との兼ね合いもあり、少なくない路線が廃止される傾向にありますが、
それでも広州市下の全公共交通機関における一日の総乗客数の約4割を担っています。

広州市バスの基本的な乗り方

この章では、広州市バスの基本的な乗り方をご紹介します。

1. バス停を見つけ、路線表示を確認する。

路線番号、方向、降車地の確認をしましょう。

2. 小銭(2~3元)or交通カード「羊城通」を用意してバスを待つ。

バスがあと何分で着くのかを知りたい場合は、アプリで確認できます。(後述)

▲バスの側面に路線番号と停車するバス停の名前が書いてあるので必ずチェック!

3. 乗車してすぐに料金を支払う。

バスの前方の扉から乗車します。料金はどこまで乗っても一律2元!(一部例外あり)
現金、交通カード、スマホのQR乗車券に対応しています。

▲現金は銀のボックスへ。交通カードorQR乗車券の場合は青い機械にタッチ。

4. 座席を確保する。

広州のバスはかなりスピードを出します。
また急停車も多いので、安全のため出来る限り座席に座りましょう。
ただし前方の黄色い座席は、高齢者や身体障がい者、妊婦などへの優先席ですのでご注意ください。

5. 降車する。

車内に電光掲示板や路線表があるので、中国語のアナウンスが分からなくても、
現在地や次のバス停がどこか分かり易いです。全てのバス停で停車してくれるので、
降車ボタンを押す必要はありません。後方のドアから降車しましょう。

広州市バスの特徴と注意点

広州市バスの乗車システムは、日本のバスと少々異なります。
乗車の際に知っておいた方が良い点や、気を付けるべき点を以下にまとめました。

同じ名前のバス停が複数ある。

広州はバスの本数が多く、乗客数も多いため、
バス停が一つだけだとスペースが足りない模様です。
そこで「白云区政务中心站①」「白云区政务中心站②」など、
同じ名前のバス停に番号を振って、数百メートルおきに配置している場合があります。
同じ名前でも、①か②か③かで路線は全く異なってきます。
間違えると移動が大変なので注意しましょう。

時刻表がない。

広州市バスには時刻表がありません。決まっているのは始発と終発のアバウトな時間のみ。
どの路線も、大体5分から10分おきにどんどんやってきますが、
道路状況によっては20分以上待ってもなかなか来なかったり、
逆に同じ路線のバスが同時刻に2台以上到着することもあったりします。
乗りたい時間に乗りたい路線バスに乗れるかどうかは運次第です。
なお、アプリをダウンロードすることで、
乗りたいバスが大体何分後に到着するかを知ることが出来ます。(後述)

前から乗車、後ろから降車の料金先払い式。

広州市バスは、東京や名古屋のバスと同様、「前から乗って後ろから降りる」タイプです。
料金は先払い式です。関西のバスシステムとは真逆なのでご注意ください。

基本的に一律料金。両替機も整理券もない。

広州市バスはどこまで行っても一律2元です(一部例外あり)。
そのため、距離従量制のバスで使う整理券はありません。両替機も置いてありませんので、
現金で支払う場合は過不足なきようお気を付けください(高額紙幣で支払ってもお釣りは出ません)。
交通カード「羊城通」を一定回数使うと、割引が受けられます。

車両によってはフリーWiFiが飛んでいる。

「WiFi覆盖(WiFi Fùgài/ワイファイ フーガイ)」というシールの貼ってある新型車両の場合、
車内でWiFiの使用が可能です。

路線が変更になっている便がある。

通常の路線バスに混じって、時々トラップのように
「短线车(Duǎnxiàn chē/ドゥァンシェンチョー)」という
ショートカット版のバスが混じっています。
これは決められた経路を走らず、いくつかのバス停をスルーしたり、
終点まで行かずに途中で車庫に入ってしまったりする便のことです。
大抵はフロントガラスや運転士の座席の隣に、
赤い文字で「短线车」と書いた看板が掲げられていますが、乗客は見落としがちです。
間違って乗ってしまい途中のバス停で降ろされても、一律2元は取られますのでご注意ください。

車内アナウンスは三言語。

自動音声のアナウンスは、北京語(普通話)広東語英語の三種類です。
また運転手は基本的に英語が分かりませんので、コミュニケーションは北京語か広東語になります。

降車ボタンがない。

日本では降車したいバス停が近づいたら、降車ボタンを押して運転士に伝えますが、
広州市バスは全てのバス停に停まってくれますので、何もしなくて大丈夫です。
(車内に一応降車ボタンはありますが、電源が切られているので押しても反応しません。)
ただし夜バスの場合は乗客数が少ないため、
運転士の独自判断で幾つかのバス停をスルーすることがあります。
もし自分の降りたいバス停をスルーされそうになったら、
「下车!(Xià chē/シャーチョー)」と大声で叫んで、即時停車してもらいましょう。

「羊城通」のタッチは乗車時の一度のみ。

中国のその他の都市では、交通カードを使ってバスに乗車した場合、
降車時にももう一度センサーにタッチしてから降りなければなりません。
しかし広州の交通カード「羊城通」の場合、その作業は不要です。
降車地に着いたら、そのまま降車してしまってOKです。

夜バスがある。

広州市バスの終発便は大体22時~22時半です。
しかし市内中心部の主要路線には夜バスというものがあり、
22時半ころから翌朝5時くらいまで、約30分に1本間隔で運行します。
料金は昼間バスが2元なのに対し3元とやや割高ですが、
24時間体制というのは非常にありがたいシステムです。

広州では必携の「羊城通」交通カード

日本にSuicaやICOCAがあるように、広州にも公共交通機関などで利用できる、
非接触式ICカードがあります。その名も「羊城通(Yángchéng tōng/ヤンチャントン)」
バスや地下鉄を始め、タクシーやフェリーなどでも利用できます。

羊城通は2001年12月に広州に導入されて以来、
その範囲を仏山、汕尾、江門、肇慶、恵州など20以上の都市に広げ、
今日では広東省下に広く浸透するようになりました。
(広州以外では「岭南通(Lǐngnán tōng/リンナントン)」などとも呼ばれます。)
また2019年4月より、中国全土の多くの交通機関で相互利用できる
「全国交通一卡通卡」バージョンも発売され、より便利になりました。

広州に短期しか滞在されない方も、羊城通を購入した方が、
旅の利便性や効率性が劇的にアップします。旅の記念に一枚いかがでしょうか。

「羊城通」の入手方法

羊城通の入手方法は三つあります。

1. 売店やコンビニなどで購入する。

広州市下のコンビニ(セブンイレブン、ファミリーマート、サークルK)
キヨスクのような小型の売店で購入することが出来ます。
販売価格は30元(約500円)(カード本体10元、チャージ金額20元)であることが多いです。
ここでチャージすることも可能です。

2. 地下鉄駅構内の自動券売機で購入する。

切符の自動券売機の近くに、白い大型の羊城通販売機があります。
羊城通の販売だけでなく、残額の照会をしたり、チャージをすることも可能です。

3. 地下鉄窓口「客服中心」で購入する。

「客服中心(Kèfúzhōngxīn/カーフージョンシン)」と呼ばれる
「お客様サービスセンター」で購入することも可能です。
ただし販売窓口は限られていますので、下記を参照してください。

▼「羊城通」販売窓口

客服中心名 所在地 最寄駅 営業時間
東華東(东华东) 東華南路バス停後方(东华东路车路边37号) 1号線東山口駅 月~金:9:00~19:00,土日:10:00~16:00
魚珠駅(鱼珠站) 魚珠駅構内ブース(C出口付近) 5号線魚珠駅 月~金:9:00~19:00,土日:10:00~16:00
広州東駅(广州东站) 広州東駅構内ブース(HJ出口付近) 1・3号線広州東駅 月~金:9:00~19:00,土日:10:00~16:00
花地湾駅(花地湾站) 花地湾駅構内ブース(AD出口付近) 1号線花地湾駅 月~金:9:00~19:00,土日:10:00~16:00
漢渓長隆駅(汉溪长隆站) 漢渓長隆駅構内ブース(C出口付近) 3号線漢渓長隆駅 月~日:9:00~20:00
人民北 西門口バス停後方(人民北路466号) 1号線西門口駅 月~金:9:00~19:00,土日:10:00~16:00
公園前駅(公园前站) 公園前駅構内ブース(J出口付近) 1・2号線公園前駅 月~金:9:00~19:00,土日:10:00~16:00
体育西駅(体育西路站) 体育西駅構内ブース(G出口付近) 1・3号線体育西駅 月~金:9:00~19:00,土日:10:00~16:00
客村駅(客村站) 客村駅構内ブース 3・8号線客村駅 月~金:9:30~19:00,土日:10:00~16:00
白雲文化広場駅(白云文化广场站) 白雲文化広場駅構内ブース(C出口付近) 2号線白雲文化広場駅 月~金:9:00~19:00,土日:10:00~16:00
動物園駅(动物园站) 動物園駅構内ブース(C出口付近) 5号線動物園駅 月~金:10:00~19:00,土日:10:00~16:00
黄閣汽車城駅(黄阁汽车城站) 黄閣汽車城駅構内ブース(A出口付近) 4号線黄閣汽車城駅 月~日:10:00~19:00

業務:羊城通の販売、故障カードの処理、返却受付・返金など
 
 
羊城通の詳細については、本サイト(ロコタビ)の
中国・広州の地下鉄の乗り方と、交通カード「羊城通」の使い方ガイド もご参照ください。

スマホで市バスに乗車する方法

あなたのスマホが中国のモバイルペイ(アリペイとWeChat)ペイに対応している場合、
アプリから乗車用QRコードを発行し、広州市バスに乗車することも可能です。

「广州羊城通」アプリをダウンロードしよう

最もスタンダードな方法は、羊城通の公式アプリ「广州羊城通」をダウンロードすることです。
アカウント登録し、WeChatペイと紐づけておけば、
アプリを開くたびに自動で乗車用QRコードが発行されます。
また手持ちの羊城通カードがあれば、そのカード番号をアプリ内に登録しておくことで、
残高を照会したり、チャージしたりできるようになります。

广州羊城通のダウンロード

「高德地图」からの乗車方法

地図アプリ「高德地图」(Gāo dé dìtú/ガオダーディートゥー)を使えば、
経路検索を通して乗車用QRコードを手に入れることも可能です。

  1. 地図上から目的地を検索して選択します。
  2. 青色の「路线」ボタンを押します。
  3. 現在地から目的地までの経路が検索されます。(「公交」の欄を見る)
  4. 希望の経路を選択したら、青色の「乘车码」を押す。
  5. 支付宝のページにリンクされるので、「确定授权」を押し、料金を支払う。
  6. QRコードが発行される。(経路検索で表示されたルート上のバスや地下鉄で使用可能)

高德地图のダウンロード

バスの路線を確認できる便利なサイト・アプリ

上述した「高德地图」は、経路検索の際に便利なだけでなく、
タクシーを呼んだり、店舗検索をする際にも大変役立つアプリですので、
ぜひダウンロードしておきましょう。
また他に人気のあるアプリとしては、以下が挙げられます。

如约出行(Rúyuē chūxíng/ルーユエチューシン)

2017年に広州市が開発した公式アプリ。
広州市下の様々な公共交通機関(路線バス、高速バス、タクシー、鉄道、船など)の
経路検索やチケット購入が可能です。
バスの場合、現在地から最も近いバス停を自動で検索してくれ、
乗車できる路線番号が一覧表となって出てくる点が大変分かりやすいです。
また次のバスが何分後に着くのかも計算してくれるので、
まだかまだかとヤキモキすることもないでしょう。
ここから珠江夜游(珠江ナイトクルーズ)の乗船チケットも購入できますし、
広州観光にはダウンロードしておいて損はないアプリだと思います。

如约出行のダウンロード

まとめ

以上、いかがでしたか?
広州市バスをうまく活用すれば、街の散策がもっと楽しくなりますし、
広州の地理にも詳しくなれます。ぜひ積極的にバス移動を取り入れてみてくださいね。
その他、分からないこと、知りたいことがあれば、ロコタビの無料Q&Aで質問もできますのでぜひ利用してみてくださいね!皆様の愉快な旅路をお祈りいたします。