香港のバス乗り方ガイド〜路線図、料金、おすすめ観光ルート
MTR(地下鉄)が開通するまで、香港内の移動手段の主流はバスでした。そのため、狭い香港ではありますが路線数は膨大、香港人でも乗りこなせないほどです。それでも香港中を網羅し、点と点を結ぶバスは本当に便利。最近ではサービスも向上し、観光客でも安心して乗りこなせるようになってきています。香港ロコになった気分で、ぜひバス移動にもチャレンジしてみてください。
香港のバス事情
香港を走るバスには大きく分けて、路線バスとミニバスと呼ばれる乗り合いバスがあり、いずれも香港人には欠かせない生活の足となっています。中でもミニバスは、バス停や料金がきちんと決まっており、正式に政府から認可されている緑色のミニバスと、運行区間内であれば自由に乗り降りができる赤色のミニバスがあります。特に赤のミニバスは使い慣れていない人の場合は香港人であっても乗りこなせないことも。
一方の路線バスは、香港島、九龍半島、離島(一部)で運行しているバスが異なり、基本的に営業区域も決まっています。離島以外のバスについてはシステムはほぼ同じなので、路線の調べ方、料金の払い方、乗り方・降り方さえ覚えておけば、旅行者であっても比較的簡単に利用できます。また一部バス路線は深夜バスがあり、24時間運行しています。
基本情報
バスの種類
離島を除き、香港島と九龍半島には以下の3つのバスが運行しています。
九巴(カオルーン・モーターバス)
金色のボディカラーが目印。九龍半島の大部分を網羅しているほか、香港島を行き来する海越えバスがあります。バスの行き先表示は公団であったり、建物であったりすることが多いので、行き先だけで方向を判断をするのは難しいかもしれません。
カオルーン・モーターバス
http://www.kmb.hk/tc/
カオルーン・モーターバスアプリ
http://www.kmb.hk/MobileAppLaunch/tc/index.html
城巴(シティ・バス)、新巴(ファースト・バス)
城巴は黄色、新巴は白・オレンジのツートンカラーが目印です。現在は同じ母体が運営しており、主に香港島を網羅しています。九巴と同じく、九龍半島と香港島を往復する路線もあります。「銅鑼湾」「中環」など目的地が明確に表示されているので、旅行者でも比較的安心して利用できます。
シティ・バス、ファーストバス
http://www.nwstbus.com.hk/home/default.aspx?intLangID=2
路線図、時刻表
バス停には必ず停留所、運行時間、運行間隔などの情報が表示されています。
路線図および時刻表はありませんが、各バス会社のウエブサイトおよび携帯アプリで確認ができます。時刻表については、起点からの始発・終バス時間、運行間隔のみが表記されています。バス停には路線番号ごとに、これらの情報に加えて停車するバス停、料金などの情報が記載されているので参考にしてください。
路線番号について
一部例外はありますが、路線番号にはある程度の規則性があります。
・番号の最後に「X」がついている路線番号:「エクスプレス」の意味で、急行バスに相当します。
・番号の頭に「N」がついている路線番号:「ナイトバス」の意味で、深夜から早朝にかけて運行しています。料金は通常運賃の1.5倍ほど。
・番号の最後に「M」がついている路線番号:起点または終点が「MTR(地下鉄)」のバス。
・番号に頭に「A」「E」がついている路線番号:いずれも香港国際空港発着のバスで、Aはエアポートバス、Eは一般の路線バス。
・番号の最後に「A」「B」「P」「S」などがついている路線番号:区分番号で、同じ番号でも付いているアルファベットによって行き先、バス停などが異なります。
・100番台:海底トンネル(紅磡~銅鑼湾)を走るバス。
・600番台:東区海底トンネルを走るバス。
・900番台:西区海底トンネルを走るバス。
料金
料金はセント単位まで表示され支払いは現金またはオクトパス(八達通)で。現金の場合、乗車の際に運賃箱に決められた料金を入れますが、お釣りは出ないのでご注意。なお料金箱に紙幣を入れても問題ありません。オクトパスの場合は、カードリーダーに軽くタッチして「ピッ」と音がすればOK。
表示されている料金を支払います。現金は運転席横の料金箱、オクトパスは料金箱左にあるオクトパスリーダーへ。
料金は起点・終点の距離が基準で決められており、区間に応じて段階的に料金が下がっていきます。つまり始発から乗った場合は、例え次のバス停で降りたとしても終点までの料金を支払う必要があります。そのほか、海底トンネルを越えるバス、深夜バスは料金が高めの設定になっています。
【オクトパス】
「八達通」とも呼ばれるICチップを搭載したプリペイド式の交通カードで、バスをはじめMTRやトラム、スターフェリーなどのほか、コンビニや一部レストラン、店舗などの支払いにも使用できるすぐれもの。香港の乗り物の料金はセント単位まで細かく設定されているため、乗車のたびに小銭が必要ですが、オクトパスカードを利用すればキャッシュレス。
なおオクトパスは最終増額後3年間有効。帰国時に払い戻してもいいですし、将来的に香港に訪れる予定のある人であれば次回の旅行でも使用できるため、滞在中に交通機関を頻繫に利用する予定のある人は購入しておくと便利です。
オクトパスについて
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AB%E9%81%94%E9%80%9A
前方の電光掲示板には次のバス停を表示。また一部バスでは先のバス停までをモニターで表示(写真左)しています。
車内アナウンス
バスによって車内アナウンスがある場合とない場合があります。アナウンスがある場合は、「広東語」「英語」「北京語」の3種類。ない場合でも、次に止まるバス停が車内前方にある電光掲示板で中国語と英語で交互に表示されます。ただし表示のタイミングがずれていたり、表示されないこともあるのでご注意。また一部の新巴では、車内1階に停車する全バス停がモニター表示されています。
バスの乗り方・降り方
乗り方
最近では、次のバスが来るまでの時間を表示するモニターを設置したバス停もあります。
1. 乗車するバスが止まるバス停で待ちます。乗車ラインがある場合は、ラインに沿って並んでください。最近では、バスが到着するまでの時間をモニターに表示しているバス停も増えてきていますが、まだまだ少ないようです。バス会社のアプリでも到着時間を確認できます。
2. バスが来たら手を上げて乗車表示をします。手は軽く水平に上げる程度でOKです。これをしないとバスが止まらないことがあります。
3. 前方の扉から乗り、料金を支払います。乗車の際の料金は料金箱の横に表示されているので、その金額を支払います。現金の場合は料金箱に入れますが、お釣りは出ません。オクトパスの場合はカードリーダーに「ピッ」と音がするまで軽くタッチしてください。
4. 乗車したら、1階または2階の空いている席に座ります。車内が空いている場合を除いて、優先席はできる限り避けましょう。
降り方
1. 降りるバス停がアナウンスまたは表示されたら、「鐘(STOP、BELL)」と表示されたベルを鳴らします。なお古いタイプのバスでは、ベルの代わりに天井に貼られたベルトを押すタイプもあります。
2. 後者は後扉から。手前に開くタイプと外側に開くタイプがあり、いずれの場合も安全のため黄色い線の内側で待ちましょう。
バス利用の注意、準備しておくと便利なもの
・現金で支払う場合、日本のようにお釣りは出ません。小銭を充分に持っておきましょう。また紙幣での支払いもOKです。
・満員の場合は、バス停に止まらずに通過することがあります。その場合は次のバスを待つか、別のバスや手段を選択してください。
・2階建てバスの場合、2階部分での立ち乗りは禁止です。
・同じバス番号でも、行きと帰りで止まるバス停やルート、料金などが異なることがあります。
・バス停の表示が壊れてたり、車内アナウンスがない場合に備え、目的地を紙に書いておく(中国語が望ましい)ことをおすすめします。
・1年中エアコンが強すぎるくらいに効いていることが多いので、長い距離乗る場合は上着を用意しておくといいでしょう。
・路線や曜日などによって運休、臨時運行、特別運行、路線変更などイレギュラーな場合があります。情報はバス停にある路線番号ごとのインフォメーションに表示してあります。
バスを使ったお勧め観光ルート
『ゴールデンマイル観光ルート』
かつて「黄金の1マイル」と称された、ネイザンロードを尖沙咀から旺角までを南下するルートです。近年は規制が厳しくなり、名物の大型看板の数はすっかり減ってしまいましたが、それでもバスの窓から見える景色は「ザ・香港」そのもの。途中、佐敦や油麻地を通過する際の下町らしい風景も見ものです。特に夜がおすすめ。
起点:尖沙咀碼頭巴士總站
終点:旺角鐵路站、旺角奶路臣街、旺角弼街など
バス会社:カオルーン・モーターバス
路線番号:1、1A、2、6、9
『ビクトリアピーク観光ルート』
香港を一望できるビクトリアピークへはピークトラムを使うのが一般的ですが、路線バスなら違った角度から香港の景色を眺めながらピークへと到達できます。例えば行きは路線バス、帰りはピークトラムを利用してみるのもいいかもしれません。
起点:中環 (5 號碼頭、天星碼頭、交易廣場)、金鐘站
終点:山頂
バス会社:シティ・バス、ファーストバス
路線番号:15
『レパルスベイ、スタンレー観光ルート』
香港のテッパン観光スポットであるレパルスベイとスタンレーを一気に観光できるルート。市内の高層ビルが林立する都会的な景色も香港ですが、それとはまったく対照的なリゾート風の美しい風景が広がる南区もまた香港。その変わっている様子を見るだけでも充分に価値があります。
起点:中環 (交易廣場)、尖沙咀(麼地道、廣東道)
終点:淺水灣海灘、赤柱廣場、赤柱村など
バス会社:シティ・バス、ファーストバス
路線番号:6、6A、6X、66、973(尖沙咀)
香港の代表的な乗り物のひとつと言えば2階建バス。特に2階席のいちばん前に座って眺める風景はまた格別です。香港ではこのスペシャルシートが特別料金を払う必要なく楽しめます。一見、敷居が高そうに思える路線バスですが、そんなことはありません。ちょっとだけ勇気を出して路線バスにチャレンジしてみてください。必ずや香港での滞在がより思い出深いものになること間違いなし!ですよ。