香港の治安・安全対策ガイド〜危険な地区・エリア、トラブル事例と対策
【香港在住者執筆】比較的安全な旅行先と言われてきた香港ですが、2019年6月以来のデモにより、状況は刻一刻と変わっています。イギリスのエコノミスト紙が各国や地域がどれくらい安全かを相対的に数値化した「世界安全な都市ランキング50」の2019年版によると、香港の順位は20位で、2017年の9位からランクダウンしました。ちなみにアジアでランクインしているほかの都市は、東京(1位)、シンガポール(2位)、大阪(3位)、ソウル(9位)です。
ここでは、デモ以外にも注意したいこと、犯罪と防犯対策、女性や子供連れが気をつけたい点など、香港での滞在を安全に過ごすためのヒントをいくつかご紹介します。
香港のデモの状況について(2019年9月最新情報)
香港では2019年6月以来、逃亡犯罪人条例等改正問題をめぐる抗議活動デモが行われており、2019年9月現在もデモは継続しています。
デモは事前に警察の許可を得て、数日前には日時や場所がニュースやネット上で流れ、主に夜間や土日に実施されています。政府機関の集まる香港島だけでなく広範囲で行われており、警察不許可のデモがゲリラ的に行われるケースも増えています。また、デモによって空港や駅が閉鎖されたり、公共交通機関がストップする可能性もあります。デモ隊と警察の衝突現場は危険なため、デモの行われる時間帯やエリアを避けての行動が必要です。
外務省の渡航危険情報では、香港に危険レベル1(十分注意してください)が出ています。
香港に滞在される方は、外務省の海外安全ホームページを参考に、安全に心がけてください。
参照:外務省海外安全ホームページ・香港
外務省の「たびレジ」に登録すると、最新の安全情報を受け取れます。
デモに関する注意点・安全対策
- デモの実施予定など、最新の情報収集につとめる(上記の「たびレジ」で受け取れます)
- デモの予定されているエリアに近づかない
- 政府関係機関に近づかない
- デモ隊に近づかない
- 口論や衝突現場に近づかない(デモ隊ではない突発的な衝突にも注意)
- デモ隊の写真や動画を撮影しない
- 黒い服装を避ける(デモ関係者と間違われないように)
- ホテル⇔外出先の複数の経路を調べておく
- 空港の閉鎖に備えて、代替の帰国手段を調べておく(マカオ空港など)
香港の治安状況
ここからは、デモ以外の香港の治安について解説します。
アジアで有数の観光、金融そして貿易都市として知られ、世界中から多くの人々が集まる香港の治安は、デモを除けば比較的安全です。とは言っても、香港警察発表の2018年の総犯罪件数は54000件以上で、いちばん多いのが窃盗で約21000件、そして暴力、詐欺と続きます。また日本人も年間で約80件ほど(マカオを含む)窃盗を中心とした被害に遭遇しています。
治安の悪い地区/エリア
▲人の多く集まる場所では、スリに特に注意してください。
香港には取り立てて治安の悪い地区やエリアはありませんが、人が多く集まる場所や観光名所などではスリや詐欺に遭う可能性が高くなります。このような場所では常に持ち物や周囲に注意を払い、また知らない人が声を掛けてきても関わらないようにしましょう。
注意したいエリア
人が多く集まり、スリや詐欺などに注意が必要な場所には、以下のようなエリアがあります。
- 尖沙咀(チムサーチョイ):重慶大廈(チョンキンマンション)周辺、ネイザンロード周辺、広東道周辺、ハーバーフロント、MTR(地下鉄)駅構内、スターフェリー乗り場など
- 銅鑼湾(コーズウェイベイ):そごう周辺、時代広場(タイムズスクエア)周辺、MTR構内など
- 旺角(モンコック):女人街、西洋菜南街、朗豪坊(ランガムプレイス)周辺など
- 中環(セントラル):蘭桂坊(ランカイフォン)周辺、SOHO、日曜・祝日の歩行者天国、スターフェリー乗り場など
- 佐敦(ジョーダン)・油麻地(ヤウマテイ):男人街
- 湾仔(ワンチャイ):ナイトクラブエリア(ロックハートロードなど)
- 深水埗(シャムスイポー):コンピュータセンター、マーケットなど
夜間の外出
▲表通りから1本奥に入ると、人気が少なく、暗い道もたくさんあります。このような道はできるだけ避けましょう。
昼間は人通りが多く、賑やかであっても、夜になると暗く、人通りが少なくなるエリアもたくさんあります。そのような場所には極力近づかず、できるだけ明るく人の多い道を選んで歩くようにしてください。また明らかに風紀の悪そうなエリアにも足を踏み入れないようにしましょう。
安全対策・基本的な心構え
スリ
- バッグはファスナー付きで斜め掛けのものを使用し、体の前に来るように心がけてください。
- リュックはおすすめしませんが、使う場合はお腹側に持ちましょう。
- 財布やスマホは、ズボンの後ろポケットなど、外から見える場所にしまわないように。
- 不自然に人にぶつかられたり、体を触られたりした場合は、すぐに所持品の確認を。
- 人前で財布の中の現金を見せたり、出さないように。特に両替後や支払い後は要注意。
置き引き
- スーツケースやバッグは必ず目の届く範囲に置いてください。
- バッグを地面に置くときには、必ず両足で挟むようにしましょう。
- レストランではバッグは椅子の背もたれや空いている座席、足元などに置かないように。
その他
- 客引きをしているタクシーは利用しないこと。
- タクシーを利用の際はぼったくりに注意。料金相場を前もって調べたり、乗車したらメーターを倒しているか確認し、降車時には必ず領収書をもらってください。置き忘れをした場合などに役立ちます。
- 繁華街では不当な料金を請求する店(カメラ店など)があるので、信頼のおける店を利用しましょう。
- 信号を守らない人が多く、また車がウインカーを出さずに曲がることは日常茶飯事。周囲の人につられて安全確認をせずに道路を横断しないように。
- 現金やカードは必要以上に多く持ち歩かず、また万一に備えて小分けにしておくと安心です。
- 1人での行動は極力避けるように。
- 強盗や窃盗に出くわした場合は相手とは争わず、相手の特徴をできるだけ覚えて迅速に警察に連絡を。
- 重慶大廈(チョンキンマンション)などでは薬物の密売が行われています。絶対に関わらないようにしましょう。
よくあるトラブル事例
- 駅構内及び中港城フェリーターミナル、ビクトリアピークや女人街などの観光地、マカオへ向かうフェリーターミナルなどにおいて,パスポートをはじめとした盗難事件が多く発生しています。
- 駅の改札口や切符売り場、階段、エスカレーターなどで見知らぬ人物から話しかけられたり、押されたりしている間にバッグなどから貴重品を盗まれるケースがあります。
- 道ばたで偽ブランドの腕時計やバッグなどの購入を勧められ、雑居ビルに連れ込まれて購入を強要されるトラブルに巻き込まれるケースが多くなってきています。
女性や子供連れが気をつけたいトラブルと対策
ホテル選び・夜間の外出
女性の一人旅で夜間外出する予定のある方は、明るい大通りにあるホテルを選ぶことをおすすめします。ホテルが裏通りにあったり、不安な場合はタクシーを利用してもよいでしょう。夜間外出時には明るく人通りのある道を通り、深夜の一人歩きは避けた方が無難です。
ナンパ・セクハラ
香港ではナンパは一般的ではありませんが、バーやナイトクラブの集まる蘭桂坊(ランカイフォン)などでは、現地人だけでなく外国人居住者や観光客もハメを外しますので、声をかけられてその気がなければ、無視するかはっきりと断りましょう。
マッサージ施術時のセクハラにもご注意。女性のマッサージ師を希望したり、セクハラ行為があれば、断固とした態度で抗議しましょう。
迷子
人の多い観光スポットで子供とはぐれると大変です。迷子対策として、名前と電話番号をアルファベットで書いたブレスレット(迷子用バンド・インフォバンド)やネームネックレスをつけておくと安心です。
出典 : Instagram
香港でトラブルにあったときの対処法・現地緊急連絡先
緊急時の連絡先(警察・救急車・消防署など)
トラブルにあったら、警察・救急車・消防署共通の999に電話しましょう。言葉が不安な場合は、日本領事館に連絡しましょう。
- 警察・救急車・消防署:999
- 在香港日本国総領事館:(852) 2522-1184(24時間対応)
パスポートの盗難・紛失時
- 警察に届け出てポリスレポート(盗難・紛失届)を入手
- 総領事館にてパスポート再発給の手続き
在香港日本国総領事館
- 住所:46 – 47/F, One Exchange Square, 8 Connaught Place, Central, Hong Kong
- 電話: (852) 2522-1184
- ホームページ: http://www.hk.emb-japan.go.jp/jp/index02.html
- 再発給に必要なもの:申請書(窓口にて)、パスポート用写真2枚、6ヵ月以内に発行の戸籍謄本(抄本)、ポリスレポート
※ 早急に直接日本に帰国の場合は「帰国のための渡航書」を申請(運転免許証などの身元確認資料と帰国の航空券が必要)
日本語対応可病院
アドベンティスト病院
- 住所:40 Stubbs Road, Happy Valley
- 日本語ホットライン(月~金:9:00~17:30) :2835‐0509
- 代表電話、英・広・普 :3651-8888
- https://www.hkah.org.hk/jp/main
カノッサ病院
- 住所:No.1 Old Peak Road, Mid- Level
- 日本語ホットライン(月~金:9:00~17:00、土:9:00~13:00 ) :2825‐2150
- 代表電話、英・広・普 :2522‐2181
- http://www.canossahospital.org.hk/index_jp.htm
香港サナトリウム
- 住所: 2 Village Road, Happy Valley
- 日本語ホットライン(月~金:9:00~17:00、土:9:00~13:00 ) :2835‐8606
- 代表電話、英・広・普 :2572‐0211
- http://mweb.hksh.com/jpn/
マチルダ国際病院
- 住所: 41 Mount Kellett Road, The Peak
- 日本語ホットライン(月~金:9:00~17:00) :2849‐1573
- 代表電話、英・広・普 :2849‐0111
- https://www.matilda.org/ja/
香港急症中心クリニック、香港急症中心
- 【中環クリニック】 6/F, Crawford House, 70 Queen’s Road Central
- 【尖沙咀クリニック】8/F, Yue Hwa International Building, Peking Road, Tsim Sha Tsui
- 24時間ホットライン:5418‐7122、5183‐8803
- 代表電話、英・広・普 :6511‐8000
- http://www.emchk.com/jp/Default.aspx?lang=ja
日本語対応緊急医療サービス会社
- ウェルビー:2573‐3667(月~金:9:00~17:30)
- プリシア:2234‐6159(月~金:9:00~17:30)
- インターナショナルSOS:2528‐9998(月~金:9:00~18:30)
クレジットカード紛失時
クレジットカード会社に連絡を取り、すみやかに利用停止手続を行ってください。
- AMEX:800‐96‐3013(24時間、日本語対応、香港からのフリーダイヤル)
- VISA:800‐901‐871(24時間、日本語対応、香港からのフリーダイヤル)
- Master:800-966-677(24時間、日本語を頼めば通訳可能)
- JCB:2314-8566(9:00~18:00)
まとめ
デモを除けば比較的治安がよくて、日本人にも馴染みのある香港といっても、ここはあくまでも海外。日本ではありません。海外旅行に来ているという自覚を持って、常に注意を心がけて行動するようにしてください。
香港の最新の治安状況を知りたい方は、ロコタビで香港在住の日本人ロコに聞いてみるのもおすすめです。Q&Aは無料ですので、お気軽にご利用くださいね。