ロンドン塔の数ある歴史に触れる旅!見どころや行き方・料金も紹介
この記事を執筆したライター:ロンドン在住「Sakura」さん
昨年9月に渡英して半年が経ちました。趣味はミュージカル鑑賞、ヨガです。休日はロンドン市内のマーケットへ行ったり、イギリス国内で小旅行へ出かけたりしています。在住者だからこそ知るロンドンの魅力をみなさんにお伝えしていきます。
【イギリス・ロンドン在住ライター執筆】ロンドン塔(Tower of London)は、古代から現代まで続く歴史の中でさまざまな顔を持つ不朽の存在です。
歴史が好きな方や旅行者にとって、ロンドン塔はまさに不思議な魅力の宝庫。世界文化遺産にも登録されており、ロンドン観光に外せない観光スポットとしても有名です。
この記事では、ロンドン塔の神秘的な過去や歴史、建築の魅力などについて、ロンドン在住ライターがくわしく紹介します。
ロンドン観光なら絶対に行きたい「ロンドン塔」とは
photo by Sakura
ロンドン中心部の東側、テムズ川のほとりに位置するロンドン塔。
建築から1000年近く経った今もなお、堅固な城壁に囲まれた要塞はただならぬ空気感をまとっています。
パンデミック前には年間280万人の人が訪れたと記録されており、ロンドンでも人気の観光地です。
ロンドン市内にある世界遺産としても有名
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ロンドン塔は、11世紀にイングランドを征服したウィリアム1世が国を守るための要塞として築いたのがはじまり。
5階建ての高さ約27,4mのホワイト・タワーを中心に、歴代の王によって増改築された塔や礼拝堂などが建ち並び、17世紀まで国王が暮らすお城として使われていました。
13〜14世紀頃からは王位継承争いに敗れた王族や反逆者を収容する牢獄や処刑所としても使われました。他にも造幣所や天文台、動物園など、さまざまな顔をもつロンドン塔は世界遺産に登録されています。
バッキンガム宮殿やウィンザー城のように、現在もイギリス王室が所有する宮殿であるロンドン塔。そのため、ロンドン塔内には「ヨーマン・ウォーダーズ」(通称:ビフィーター)をはじめとする軍人たちの姿も見られます。
この赤い軍服を身につけている軍人が「ヨーマン・ウォーダーズ」です。
14世紀頃からロンドン塔を守っており、現在はイギリス軍で役職についた軍人などが退役後につく名誉職だそうです。
「ヨーマン・ウォーダーズ」やその家族たちは実際にロンドン塔内で暮らしており、主に観光ガイドをしています。「ヨーマン・ウォーダーズ」による観光ガイドは30分毎に行われており、どなたでも参加することができます。(英語のみ)
ロンドン塔の、「ヨーマン・ウォーダーズ」による観光ガイドを通訳して欲しい方は、ロンドン在住日本人のロコにサポートを依頼してみましょう!
さまざまな物語や逸話つきで興味が湧きたてられる歴史ある塔
さまざまな顔をもつロンドン塔ですが、イギリス王室の血にまみれた権力争いの舞台としても有名です。
ヘンリー8世に処刑された王妃アン・ブーリン、叔父のグロウスター公爵により幽閉され行方不明になった幼い2人兄弟、夫ヘンリー8世に不貞の罪で処刑された妻アンブー・リンなどのエピソードがあります。
物語や逸話つきの世界遺産ということで、興味が湧きたてられる歴史深い塔です。
詳しいエピソードについては後にご説明しますね。
ロンドン塔への行き方と基本情報
営業時間
- 火〜土:9時〜16時30分
- 日、月:10時〜16時30分 (最終入場は15時、ガイドツアーは14時30分)
ロンドン内でも屈指の観光スポットであるロンドン塔には、連日多くの観光客が訪れます。
午前中の観光がおすすめ。
見どころも多いので、滞在時間には余裕を持って訪れることをおすすめします。(2〜3時間程あればゆっくり堪能できるかと思います)
チケット料金
- 大人(Adult、18-64歳):£33.60
- 子供(Child、5-15歳):£16.80 ※大人同伴
- 学生・シニア(Concession、シニアは65歳以上):£26.80
チケットにはロンドン塔内全ての施設への入場と、開園30分ごとに行われているヨーマンウォーダーズによるツアー(英語、参加は自由)が含まれます。
英語がわからないという方は、入口付近でオーディオガイド(£5、日本語あり)も別途借りることができます。
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チケット購入方法
チケットは事前にオンラインでの購入がおすすめ。ウエストミンスター寺院程ではないですが、チケット購入や入場のために列ができる事もあります。
公式サイト、またはその他の日本語サイトで購入可能です。
ロンドン塔では、お得な観光パス「ロンドン・パス」(The London Pass)も使用できます。「ロンドン・パス」はいわゆるフリーパスのようなもので、ほとんどのロンドン主要観光名所で使用できます。
ざっくり1日に3箇所ほど観光地を回れば元をとることができ、お得なチケットです。
当日チケットを購入する場合は、ロンドン塔西側の広場にあるチケット売り場で購入が可能です。
アクセス
ロンドン塔の最寄り駅は、地下鉄タワー・ヒル(Tower Hill)駅です。
タワーヒル駅はCircle/District line が通っていて中心地からもアクセスしやすいかと思います。
駅の改札口にはTower of Londonの案内表示があります。案内に従って外に出てください。
外に出ると真正面にロンドン塔が見えます。駅からロンドン塔までは徒歩5分程です。
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ロンドン塔の主な建造物と見どころ
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たくさんの建造物や展示物があり、見どころが盛りだくさんのロンドン塔。
より深くロンドン塔を楽しめるよう、見どころやそれぞれの建造物にまつわるエピソードなどご紹介します。
バイワード・タワー(Byward Tower)
ロンドン塔の入口となるウェイゲートです。
かつては城門の役割を果たしており、正面には跳ね橋がかかっていたのだとか。想像してみるとまるでおとぎ話の舞台のようですね。
ロンドン塔を訪れた人々が必ず通る門で、ここを進むとまたぐっと雰囲気がでます。
トレイターズ・ゲート(Traitor’s Gate)
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トレイターズとは、日本語で反逆者または裏切り者を指します。
テムズ川につながる水路にある門で、囚人達は船に乗りテムズ川からこの門を通ってロンドン塔に連れてこられたそうです。
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また、トレイターズ・ゲートの横には十字架の模様があります。
これは実は装飾ではなく、侵入者をいつでも攻撃するための、見張り用の窓だったそうです。
ホワイトタワー(The White Tower)
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ロンドン塔の中心にあるホワイトタワーはウィリアム1世によって1番初めに建てられました。
行方不明になった幼い兄弟2人、王子エドワードと弟のヨーク公リチャードの遺骨が見つかったのもこの塔です。
1483年、父の急死で後を継ぐことになった12歳の王子エドワードは叔父リチャード3世によって弟とともにこの塔に幽閉されました。叔父は、兄弟の父であるエドワード4世の結婚が無効であり2人の兄弟は非摘出児であるとして、自分が王として即位。その後、幼い兄弟2人の行方はわからなくなったそうです。「叔父に殺されたのでは?」という噂はあったものの、真相は謎に包まれたままです。
約200年後の1674年、ホワイトタワーの改修工事の際に子供の遺骨が入った木箱が階段下で発見されました。当時の鑑定結果から幼い兄弟2人のものとみなされ、現在はウエストミンスター寺院に埋葬されています。
しかし、これは1674年の鑑定結果。当時はDNA鑑定などありません。
本当にエドワード王子達の遺骨なのかという説も出てきており、「再調査したほうが良いのでは?」という意見も出ましたがイギリス政府はこれを拒否しています。
ウエストミンスター寺院には3000人以上の歴史的著名人が埋葬されており、1度最鑑定の前例を作ってしまうと後が大変になるから、といった理由があるようです。
現在は武器や防具などが展示されています。なんと日本の鎧も展示してあり、ジェームズ1世に徳川秀忠が送ったものだそうです。
また、ヘンリー8世の鎧も興味深いものなのでぜひ訪れた際は見てみてください。
ホワイトタワー内には、礼拝堂(St John’s Chapel)もあります。
クラウン・ジュエル(The Crown Jewels)
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イギリス王室が所有する王冠、王笏(王位の象徴とされる杖)、宝剣、宝石などが展示されている塔です。
これらは昨年ウエストミンスター寺院で行われた、チャールズ3世の戴冠式で使われたもの。中でも王笏には世界で2番目に大きいと言われている530カラットのダイヤモンドがあしらわれており、その煌びやかさには思わず見惚れてしまうこと間違いなし。
特に貴重なものがあるコーナーには、人が滞留しないようにフラットのエスカレーターが設置されています。
残念ながら写真撮影はNGなので、美しい宝石の数々を目に焼き付けて帰ってくださいね。
ウォール・ウォーク(The Wall Walk)
3つのタワー(ソルト・タワー、ブロード・アロー・タワー、コンスタブル・タワー)とノース・ウォール・ウォークは、ひとつの通路で繋がっています。
その通路を歩きながら、塔から塔へ移動することを「ウォール・ウォーク」といいます。
ソルト・タワーには、投獄された人々の名前が刻み込んである壁があったりと、歴史の奥深いところまで感じることができます。また、「ウォール・ウォーク」ではおとなりのタワー・オブ・ロンドンがよく見えるフォトスポットも。
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お時間に余裕のある方はぜひ「ウォール・ウォーク」にも挑戦してみてください。
中世の宮殿(The Medieval Palace)
トレイターズ・ゲートを右手に進むと城壁に登る階段があり、中世の宮殿へと繋がります。
中世の宮殿は、その名の通り中世にエドワード1世やヘンリー3世など、数々の国王が暮らした宮殿です。当時の国王が暮らした部屋の様子が再現されています。
タワーグリーン(Tower Green & Scaffold site)
ロンドン塔の囚人の中でも名高い人物達は、タワーグリーンにて幽閉・処刑されました。
タワーグリーンで処刑された人々は「選ばれた7人」と呼ばれています。ここでは、3
人の逸話についてご紹介しますね。
【アンブーリン】
ヘンリー8世の2番目の妻であるアンブーリン。アンブーリンは複数人との不貞による罪で有罪となりました。
しかし、実は免罪でどうしても後継の男の子が欲しかったヘンリー8世のでっち上げではないかと言われています。アンブーリンは処刑後に、塔の中にある礼拝堂に埋葬されています。
【マーガレットポール】
リチャード8世の兄夫妻の娘だったマーガレットポール。カトリック教徒だった彼女は、ヘンリー8世に捉えられ、幽閉されました。
処刑が決まった際、マーガレットは80歳近くになっており小柄で弱々しい様子でしたが、それでも毅然としていました。
最後まで「自分は無実だ」と主張、死刑台から何度も逃げようとしました。その様子に動揺した死刑執行人は何度も斧をふり上げては失敗。マーガレットは亡くなるまでに11回の斬撃を受けたと言われています。
【レディジェーングレイ】
ナショナルギャラリーにある絵画でも有名な、レディジェーングレイ。
1554年、16歳だった彼女は、「イングランド史上初の女王」として王女となりましたが、わずか9日間でメアリ1世によって廃位され、処刑されました。
夫もともに捉えられ、夫が処刑される様子を牢獄の窓から見たおよそ1時間後に、本人も処刑されたそうです。
タワーグリーンの処刑台跡には記念碑が建てられています。
付近にはウォーターサーバーがあります。なぜこの場所にしたのか不思議ですが、誰でも自由に水分補給することができます。
ロンドン塔にまつわる逸話や物語・歴史
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今も継続して飼育されている?カラス伝説
ロンドン塔からカラスが消えると国が滅びるという言い伝えがあり、ロンドン塔では6羽のカラスが飼育されています。チャールズ2世の時代に、カラスがロンドンを去ると英国王室が滅びるというお告げを受けたことが由来だとか。
日本人がカラスと聞くとあまり良いイメージが持てませんが、ロンドン塔のカラスは毛並みも艶やかでまるで鷹のように立派です。さすが、王室所有のカラスですね。
拷問や処刑の地として使われていた過去
王位継承争いに敗れた王族や反逆者を収容する牢獄や処刑所としても使われていたロンドン塔。覆いたくなる拷問や恐ろしい死刑執行が行われた地でもあります。
「スカベンジャーの娘」で知られている体を丸めて圧迫される拷問や、絞首刑、斧を使った斬首刑など残酷な仕打ちが行われました。
当時は濡れ衣も多く、罪のない人々までもが拷問や処刑を受けたと言われています。
怪奇現象が多発?処刑された幽霊を見たという人も
ロンドン塔では、先に紹介した行方不明の2人の兄弟やアンブーリン、マーガレットなどの幽霊を見たという噂が後をたちません。
心霊スポットとしてもかなり有名です。開園時間が夕方までで良かった、と思わずホッとしますね。
幽霊にちなんで、秋にはロンドン塔内で子供向けのハロウィンイベントも行われています。
漫画「薔薇王の葬列」の舞台にもなっている
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ロンドンは漫画「薔薇王の葬列」のメイン舞台のひとつです。
中でもロンドン塔は一部のラストシーンや、12巻のラストシーンといった非常に重要なシーンの舞台です。ロンドン塔内には漫画の背景に出てくる絵にそっくりな場所もあり、「薔薇王の葬列」ファンにはたまらない聖地巡礼スポットです。
まだ読んだことがない方はぜひ読んで見てください。ロンドン塔観光がさらに面白くなるのではないかと思います。
まとめ:ロンドン塔は歴史の数だけ物語が行き交う魅力ある場所
ここまでロンドン塔の数々の歴史や逸話をご紹介しました。
威厳のある建物や展示物そのものも勿論素晴らしいですが、1000年近い歴史の中で生まれた物語を連想しながら観光するとさらに魅力が増すのではないでしょうか。
近くにはタワー・オブ・ブリッジもあるので、合わせて観光してみてください。
ロンドン塔についてもっとくわしく知りたい方は、「ロコタビ」でロンドン在住日本人のロコにサポートを依頼してみましょう!