ロンドン大英博物館の見どころ完全攻略ガイド〜必見展示15選・所要時間、回り方、お土産、レストラン
目次
- ロンドン・大英博物館(British Museum)とは?
- 大英博物館完全攻略のポイント
- 大英博物館のフロアプラン
-
2時間で見学可能!大英博物館の必見展示15選
- ロゼッタストーン【展示室4】
- ラムセス2世像【展示室4】
- アッシリアの人頭有翼獅子像【展示室6】
- アッシリア王のライオン狩りのレリーフ【展示室10】
- パルテノン神殿の彫刻【展示室18】
- ハリカルナッソスのマウソロス霊廟の彫刻:チャリオットの馬【展示室21】
- うずくまるアフロディーテ像【展示室23】
- イースター島のモアイ像(ホア・ハカナナイア像)【展示室24】
- アステカのトルコ石モザイク【展示室27】
- ルイス島のチェス駒【展示室40】
- サットン・フーの兜【展示室41】
- ウルのスタンダード(王墓)【展示室56】
- ミイラと金箔を施した内棺【展示室63】
- フネフェルの死者の書【展示室63】
- ポートランドの壺【展示室70】
- 回り方のポイント
- 大英博物館の企画展(特別展)
- 大英博物館のおすすめのお土産
- 歩き疲れたら館内のカフェやレストランで一休み
- まとめ
【2019年最新情報:イギリス・ロンドン在住者執筆】大英博物館はロンドン最大の人気観光スポット。数ある展示品の中から、必見の展示15点をセレクトしました。
大英博物館の基本情報から完全攻略のためのポイント、フロアプラン、回り方のポイント、おすすめのお土産、館内のレストラン・カフェ情報まで徹底解説します!
800万点のコレクションを誇る大英博物館の見どころをしっかり押さえて、効率よく世界中の貴重なお宝見学を楽しみましょう。
ロンドン・大英博物館(British Museum)とは?
イギリス・ロンドンにある大英博物館は、世界で最も有名なミュージアムの一つです。
ロンドン観光に訪れる際には絶対に欠かすことができないスポットですよね。
大英博物館には、古代人の石器から21世紀の版画まで、世界中の文化的・歴史的価値のある品々が800万点以上所蔵されています。
大英博物館の広大な館内には、70以上の展示室があり、世界的に貴重なコレクションが展示されています。
どれも日本ではなかなか見られない作品ばかりなので、すべての展示を回ってみたいところですが、1日で達成するのは不可能かと思います。
とくにお目当ての作品が無い場合は、後述の「必見展示15選」を中心に時間の許す限り回ってみてくださいね。
大英博物館の基本情報
大英博物館(British Museum)
- 開館日:毎日(閉館日:1/1.12/24.12/25.12/26)
- 開館時間:ギャラリー10:00-17:30(金曜のみ一部ギャラリー20:30まで延長)グレートコート9:00-18:00(金曜9:00-20:30)
- 電話番号:インフォメーションデスク +44 (0)20 7323 8299、チケット売り場 +44 (0)20 7323 8181
- 住所:British Museum, Great Russell Street, London, WC1B 3DG
- ホームページ:https://www.britishmuseum.org/visiting.aspx?lang=ja(一部日本語対応)
◇大英博物館ホームページ:金曜の夜に開いているギャラリー一覧
行き方(博物館へのアクセス方法)
大英博物館はロンドン中心部にあり、4つの地下鉄駅に囲まれているので、アクセスもしやすいです。
各地下鉄駅からは徒歩5~10分ほどで博物館まで行くことができます。
◆おすすめ記事:ロンドン地下鉄の乗り方完全ガイド【2019】路線図・料金・オイスターカード・切符の買い方
大英博物館の最寄り駅
- トッテナム・コート・ロード駅(Tottenham Court Road):500m-徒歩約5分
- ホルボーン駅(Holborn):500m-徒歩約5分
- ラッセル・スクエア駅(Russell Square):800m-徒歩約10分
- グージ・ストリート駅(Goodge Street):800m-徒歩約10分
おすすめアプリ「Citymapper」
ロンドン市民の多くが利用している乗り換え・地図アプリです。
降りる駅やバス停が近づくとアラートしてくれたり、目的地に近い地下鉄の出口も教えてくれてとても便利です。
駅から大英博物館のルートは意外とわかりづらいのですが、このアプリを使えば簡単なので、ぜひダウンロードしてみてください!
◆Citymapperのダウンロード
入場料はなんと無料!
大英博物館への入場料は無料です!!
イギリスのミュージアムは、すべての人が芸術を楽しめるようほとんどが無料になっています。
入場料は無料ですが、5ポンドのドネーション(寄付)が推奨されています。
可能ならば、寄付、マップの購入、カフェやレストラン、ミュージアムショップの利用などで貢献しましょう。
見学に必要な時間は?(所要時間)
大英博物館は広大かつ展示品の数も膨大なので、すべての展示室を隈なく見学するのは、何日あっても足りません。
見たいエリアや作品・展示室を絞って、効率的に回るのがおすすめです。
下記に各所要時間別の見学イメージをまとめました。
- 所要時間1時間:ロゼッタストーン・ミイラなど大英博物館おすすめの展示9点を巡る
- 所要時間2時間:後述の筆者おすすめ「必見展示15選」を巡る
- 所要時間3時間:さまざまな展示室を回る大英博物館のおすすめ展示25点を巡る
- 所要時間4時間~:「必見展示15選」+すべての展示室を駆け足で巡ってみる
- 所要時間5時間~:さくっとすべての展示室+企画展にも足を運んでみる
※休憩時間・ミュージアムショップを巡る時間は含んでいません。
◇大英博物館ホームページ:当博物館で1時間過ごす
◇大英博物館ホームページ:当博物館で3時間過ごす
大英博物館の待ち時間は?
大英博物館は入館前にセキュリティチェックがあります。
館内に入場するのに並ぶことはないと思いますが、セキュリティチェックを受けるのに待ち時間が発生します。
土日は門の外まで列ができることが多いですが、進みは割とはやいので、待っても15分ほどかと思います。
▲週末は門の外まで行列が
写真撮影はできる?
非営利目的の場合の写真撮影は、ほとんどの展示室で許可されています。
企画展などは撮影NGの場合もありますので、現地でご確認ください。
また、ギャラリー内での鉛筆によるスケッチも許可されています。
荷物は預けられる?(クロークルーム)
館内に入って左の通路を進んでいくと、クロークルームがあります。
傘やコート、バッグが預けられますが、預かり可能な重量は、8キロまでなのでご注意ください。
【料金】
- 傘:1ポンド
- コート:2ポンド
- たためるベビーカー:無料
- バッグ(4kgまで):2.5ポンド
- バッグ(4‐8kg):5ポンド
訪れる前に知っておきたい注意点
スーツケースは持込み不可
大英博物館の館内にスーツケースやキャリーケースを持ち込むことはできません。
クロークに預けられる荷物も8キロまでのため、帰国前などに寄りたい場合は、入館前に荷物をホテルなどに預けてくる必要があります。
入館前にセキュリティチェックあり
前述のとおり、大英博物館の入館前にはセキュリティチェックがあり、危険物の持込みは禁止です。はさみなどとくにご注意ください。
希望の作品や展示室が見れないときもある
大英博物館に限らずですが、作品や展示室自体が修復や企画展の都合などから見られないこともよくあります。
絶対に見たいコレクションがある場合は、事前に大英博物館のホームページで確認しておきましょう。
スリには注意
無料で入場でき、人混みも多くできる大英博物館はスリにあいやすいスポットでもあります。
展示物や写真撮影に夢中になっていると、貴重品への注意もそがれがちです。
人混みには必ずスリがいると思って、所持品への注意を常に怠らないように気を付けましょう。
その他の注意点・マナー
- 携帯電話はマナーモードに設定の上、ギャラリー内での通話は控えましょう。
- 展示品はとくに柵などがなく触れられる距離にあるものも多いですが、触ってはいけません。
- 敷地内での喫煙は控えましょう。
- ギャラリー内での飲食も控えましょう。(館内にはレストランやカフェがあります。)
大英博物館完全攻略のポイント
世界的に有名な「大英博物館」は、ロンドン旅行の際はほとんどの方が訪れたいスポットかと思いますが、何を見たら良いか、どう回れば良いかわからないという方も多いのではないでしょうか。
ここでは、大英博物館の楽しむポイントをご紹介します。
大英博物館は英語や芸術、歴史の知識が無くても楽しめる!
大英博物館には行ってみたいけど、日本にいるときは博物館なんてあまり行かないし、どうしたら良いかわからない方も多いのではないでしょうか。
たしかに大英博物館のコレクションは、芸術や歴史の知識があった方が、深く展示品のことを知ることができます。
しかし、大英博物館には、一見しただけでも面白いものや迫力のあるもの、美しいものがたくさんあります。
詳しくそれが何かわからなくても、珍しいもので溢れているので、見るだけで楽しめます!
さらに深く知りたい意欲のある方は、ガイドブックやオーディオガイドの購入を検討してみてください。
荷物は少なめに
大英博物館は大人気の観光スポットなので、曜日や時間帯に関わらず、がら空きということはありません。
人混みの中で広大な館内を見学して回るのは非常に疲れるので、荷物はなるべく少なく、身軽にしておきましょう。
前述のクロークルームも活用してくださいね。
展示を楽しむには事前のちょこっと予習が効いてくる!
大英博物館は本当に広く、闇雲に回っていてもお目当ての展示すべてにたどり着くのは難しいです。
本記事や大英博物館のホームページなどで、大英博物館のフロアプランはどのようになっているのか、目当ての展示品のルーム番号は何番かなどを事前に確認しておきましょう。
館内マップは必ず入手しよう!
大英博物館の館内は順路などはとくに示されておらず、1方向に進めばすべて回れる造りにはなっていません。
フロアも地階から5階まであり、上階へいける階段やエレベーターも限られています。
館内の各所にマップや案内図が設置されてはいますが、紙のマップがあった方が便利です。
マップ①ホームページから印刷する(英語版)
大英博物館のホームページからマップを入手できます。
事前にプリントアウトして、行きたい場所に印をつけておくと良いですね。
マップ②無料の白黒マップ(英語版)
入口から入って、まっすぐ進んだところにあるグレートコートに白黒の無料のマップが置かれています。
2ポンドの寄付が推奨されているので、寄付するならば次の有料のカラーマップを購入した方が良いかもしれません。
マップ③2ポンドのカラーマップ(英語版)
カラーマップはインフォメーションで2ポンドで購入できます。
冊子内にはおすすめの展示も少し紹介されています。
マップ④6ポンドの日本語ガイド・館内マップ付き(日本語版)
日本語のマップが良い方、各エリアや代表展示物のガイドを少し見てみたい方は、日本語ガイドがおすすめです。
小型で持ち歩きもしやすく、帰国後も記念になるのが良いですね。
音声ガイド(オーディオガイド)は必要?
音声ガイドは、グレートコートに入って、左手のカウンターで貸し出しされています。
料金は1台7ポンドで、日本語にも対応しています。
200点を超える主要展示品について、ガイドを聞くことができるので、3時間以上かけてじっくり回りたい方にはおすすめです。
3時間以内でも解説を聞きたい方はもちろん利用されると良いと思いますが、時間が足りなくなってしまう可能性があるので、見たい展示品は絞るように気を付けましょう。
ガイドツアーに参加してみよう!
大英博物館ではさまざまなガイドツアーが提供されています。
料金は無料と有料のものがあり、英語のツアーになります。
無料のものは気軽に参加できるので、ツアーに参加してみるのも貴重な体験になると思います。
ギャラリートーク
- ゲストスピーカーまたは学芸員によるギャラリートーク。
- 料金:無料
- 開催日・時間:火~土曜日の13:15~
ハイライトツアー
- グレートコート内のチケットデスクでの予約が必要
- 料金:有料(14ポンド)
- 開催日・時間:金・土・日曜日の11:30~、14:00~(90分間)
アイ・オープナー・ツアー
- 各エリアのコレクションを紹介するツアー
- 料金:無料
- 開催日・時間:毎日。時間はエリアによって異なる(30~40分間)
スポットライト・ツアー
- 金曜日の夕方に開催される無料ツアー
- 時間・トピック・場所については要確認。
以上の大英博物館で提供されているガイドツアーはすべて英語のツアーです。
日本語をご希望の方は、ロコタビのサービスを利用して、ロンドン在住日本人のロコにアテンドを依頼するのもおすすめです。
Q&Aは無料なので、ほかにも疑問点やお困りごとがあるときは、お気軽に相談してみてください。
おすすめの時間帯
大人気の大英博物館は常に混んでいますが、やはり朝一番を狙うのがおすすめです。
ギャラリーのオープンは10時ですが、グレートコートへの入場は9:30から可能です。
朝一番に入場した場合は、先に2階に上がってしまって、午後にはものすごく混雑するミイラを見学してしまうのがおすすめです。
360°ぐるっと鑑賞してみよう
大英博物館の展示品は、すべてガラスのショーケースに入っているわけではなく、むき出しになっているものも。
もちろん触れてはいけませんが、ぎりぎりまで近づいて見てみましょう。
素材の質感や繊細さまで感じられるはずです。
壁面展示でなければ、360°鑑賞できる作品も多くあります。
正面ばかりに目が行きがちですが、後ろ姿も観察してみましょう。
面白い発見があるかもしれません。
▲ラムセス2世の背中にはヒエログリフが!
▲モアイのせなか
大英博物館のフロアプラン
大英博物館のフロアプランは、グランドフロア(1階)、アッパーフロア(上階)、ロワーフロア(地下階)に分かれています。
実際には、レベル-2、-1、0、1、2、3、4、5階までの8フロアあり、レベル0が日本の1階にあたります。
日本とイギリスでは階数の数え方が異なるのでご注意ください。
上階や地下階への階段やエレベーターは、接続場所が限らているので、マップをよくご確認ください。
展示室の多くはエリアで分かれており、以下にその概要をまとめました。
グレートコート
入口から入ってまっすぐ進んでいくと、「グレートコート」と呼ばれるガラス天井の広々とした美しいホールに出ます。
グレートコートには、インフォメーションデスクやオーディオガイドのカウンター、ミュージアムショップ、カフェ、トイレなどがあり、ミュージアム見学の拠点となります。
Ground Floor(1階)
レベル0
- 南北アメリカ
【展示室26】北アメリカ
【展示室27】メキシコ ※トルコ石のモザイクなど
- 古代エジプト:【展示室4】※ロゼッタストーン、ラムセス2世像など
- 古代ギリシャとローマ:【展示室6、11~23】※パルテノン神殿彫刻、うずくまるアフロディーテ像など
- 中東:【展示室6~10】※ライオン狩りのレリーフ、人頭有翼獅子像など
- テーマ
【展示室1】啓蒙時代
【展示室2】世界のコレクション
【展示室24】生と死 ※モアイ像など
- 出入口
- ミュージアムショップ
- ピッツェリア
- コートカフェ
レベル1
- アジア:【展示室33】中国、南アジア、インド
レベル2
- アジア
【展示室67】韓国
【展示室95】中国陶器
Upper Floor(上階)
レベル3
- 古代エジプト:【展示室61~66】※ミイラ、死者の書など
- 古代ギリシャとローマ:【展示室69~73】※ポートランドの壺など
- ヨーロッパ:【展示室40、41、46~51】※ルイス島のチェス駒、サットン・フーの兜など
- 中東:【展示室42、43、52~59】※ウルのスタンダードなど
- テーマ 【展示室38、39】時計
【展示室68】貨幣
- グレートコートレストラン
レベル4
アジア:展示室91a 絵画と書道
テーマ:展示室90 版画と素描
- 期間限定展示
レベル5
- アジア:【展示室92~94】 日本
Lower Floor(地下階)
レベル-1
- 古代ギリシャとローマ:展示室77、78
※展示室21の階段をおりる
レベル-2
- アフリカ:【展示室25】
※展示室24の階段をおりる
2時間で見学可能!大英博物館の必見展示15選
ロゼッタストーン【展示室4】
古代エジプト学史上最大の発見といわれる石碑「ロゼッタストーン」。
大英博物館で最も人気な展示品のひとつです。
ロゼッタストーンには、古代エジプトのヒエログリフ(神聖文字)、民衆文字(デモティック)、ギリシャ文字の三つの文字が記されています。
このロゼッタストーンにより、古代エジプトの象形文字を解読することが可能となりました。
石碑には、プトレマイオス5世の王族儀礼を確認する司祭評議会の勅令が刻まれています。
ロゼッタストーンの周辺は、常に混雑していますが、ぜひ間近で3つの文字の違いを確認してみてください。
「ロゼッタストーン」
- 発見場所:エジプト
- 時代:紀元前196年
- 高さ:1.12m
ラムセス2世像【展示室4】
展示室4に入ればすぐ目を引くのがこのラムセス2世像です。
この巨大な像は、大英博物館最大のエジプトの像で、テーベにあるラムセス王神殿から19世紀に出土したものです。
エジプト第19王朝ファラオのラムセス2世は「太陽の子」と呼ばれ、67年近く国を統治し、エジプトを繁栄をさせた名君です。
ラムセス2世像は、後ろ姿もぜひみてみてください。
「ラムセス2世像」
- 発見場所:エジプト 、テーベ
- 時代:紀元前1250年ごろ
- 高さ:2.67m
ついでに見たい!展示室4内作品「ゲイヤ-・アンダーソンの猫」
ラムセス2世像のすぐ近くに展示されているのが、この「ゲイヤ-・アンダーソンの猫」。
かわいらしく上品な姿から、ミュージアムショップでもたくさんのグッズが販売されています。
アッシリアの人頭有翼獅子像【展示室6】
アッシリアの超自然的な神話上の守護獣神の石像。
古代メソポタミアの宮殿で、悪魔の力から守るために、門に安置されることが多かったそうです。
「アッシリアの人頭有翼獅子像」
- 発見場所:イラク北部、ニムルド(古代カルフ)
- 時代:紀元前883~859年ごろ
- 高さ:3.5m
アッシリア王のライオン狩りのレリーフ【展示室10】
アッシリア帝国の最後の偉大な王アッシュールバニパル(紀元前668年~631/630年)の獅子狩りでの快挙と、紀元前701年にアッシリア王センナケリブがレバンド南部のラキシュを占領した様子を描いたレリーフが、壁一面に展示されています。
スケールの大きな展示をお楽しみください。
パルテノン神殿の彫刻【展示室18】
展示室18には、ギリシャのパルテノン神殿の彫刻たちがずらりと展示されています。
この彫刻群は、19世紀はじめに、イギリス大使だったエルギン卿によってイギリスに持ち込まれたもので、近年、ギリシャから返還要求が出ています。
アテネのアクロポリスにあるパルテノン神殿は、紀元前447年~432年にアテネの守護女神アテナを祀る神殿として、建設されました。
白大理石を贅沢に使用して建立された神殿は、神話や儀式の場面を表す彫像でふんだんに飾られました。
その彫像の現物たちが現在は、大英博物館で展示されています。
人や神々の身体や衣服の表現の美しさや、いきいきとした馬の躍動感、筋肉の質感などを間近でご覧ください。
▲広い展示室の両壁面には、レリーフがびっしり
▲セレネの馬
▲イリス像:虹の女神であり神々の伝令を務めるイリスが飛んでいる様子を示している
▲イリッソス像:パルテノン神殿の西破風のもので、アッティカ川の1つを表している
▲ケンタウロスとラピテース族のメトープ:ケンタウロス(半人半獣)と人間のラピテース族(ギリシャ北部の神話に登場する民族)が戦う様子を表している
ハリカルナッソスのマウソロス霊廟の彫刻:チャリオットの馬【展示室21】
「ハリカルナッソスのマウソロス霊廟」は、マウソロス王とその妻アルテミシアのために建てられた巨大かつ精巧なお墓です。
当時の高名なギリシャ人彫刻家たちが建造に関わっており、世界7不思議のひとつとされています。
「チャリオットの馬」は、ピラミッド型の屋根の頂上に置かれていた巨大な大理石の4頭立てのチャリオット(戦闘用馬車)の一部です。
「チャリオットの馬」
- 発見場所:トルコ、ボドルム
- 時代:紀元前350年ごろ
- 高さ:2.33m
うずくまるアフロディーテ像【展示室23】
古代ローマ時代の2世紀の大理石像。
ヘレニズム文明の都市クニドス(トルコ南西部)の神殿にあった紀元前4世紀後ごろの女神像を模刻したものとされています。
水浴姿を見られて慌てて裸体を隠すアフロディーテ(ヴィーナス)の様子が刻まれています。
曲線美を360°から鑑賞してみてください。
「うずくまるアフロディーテ像」
- 時代:100年代
- 高さ:1.12m
イースター島のモアイ像(ホア・ハカナナイア像)【展示室24】
玄武岩で作られたこの彫像は、一度は写真などを目にしたことがあるのではないでしょうか。
日本では、イースター島のモアイ像の名で知られていますよね。その本物が遠く離れたイギリスの大英博物館に展示されています。
ハカナナイアは「盗まれた、あるいは隠された友」を意味します。
目にはもともと、赤い石やサンゴがはめ込まれており、石像自体も赤と白で彩色されていました。
「ホア・ハカナナイア像」
- 発見場所:ラパ・ヌイ(イースター島)、オロンゴ
- 時代:1000年ごろ
- 高さ:2.42m
アステカのトルコ石モザイク【展示室27】
メキシコ中部で15~16世紀に栄えたアステカ美術を象徴するトルコ石のモザイクが3点並んで展示されています。
蛇のモザイクは、祭典行事でペクトラル(胸飾り)として身につけられたものと考えられています。
黒色の背景にライトで照らされたトルコ石モザイクのひとつひとつがキラキラと輝き、なんとも不思議な存在感を放っていました。
▲双頭の蛇のモザイク
ルイス島のチェス駒【展示室40】
スコットランドのルイス島で発見されたチェス駒。
セイウチの牙や鯨の歯を精巧に加工して作られたもので、座った姿の王(キング)と王妃(クイーン)、司祭冠を被った司教(ビショップ)、馬上の騎士(ナイト)、立ち姿の番兵(ルーク)と歩兵(ポーン)で構成されています。
このチェス駒は、映画「ハリーポッターと賢者の石」に登場する魔法使いのチェスのモデルになったことでも有名です。
なんとも言い難い豊かな表情が魅力の駒たちです。顔までじっくり見てみてください。
「 ルイス島のチェス駒」
- 発見場所:スコットランド
- 時代:1150~1200年ごろ
- 高さ:4~10cm
サットン・フーの兜【展示室41】
アングロ・サクソン時代のイングランドの兜として完全な形で発見されている4点のうちの貴重なひとつがこの「サットン・フーの兜」です。
この兜は「イギリスのツタンカーメンのマスク」とも呼ばれています。
完全な複製品も展示されているので、見比べてみましょう。
「 サットン・フーの兜」
- 発見場所:イングランド、サフォーク州、サットン・フー
- 時代:600年代初期
- 高さ:32cm
ウルのスタンダード(王墓)【展示室56】
戦争と宴会の場面を鮮やかに描いたこの珍しい作品は、ウル王墓(現在のイラク)にある最大の墓で発見されました。
用途は不明ですが、モザイクで描かれたパネルは、シュメール王政の2つの補完的側面、「戦士としての支配者と平和と繁栄をもたらす支配者」を表現しています。
「ウルのスタンダード」
- 発見場所:イラク南部、ウル
- 時代:紀元前2600~2400年ごろ
- 長さ:49cm
ついでに見たい!展示室56内作品①「やぶの雄羊(牡山羊の像)」
ウル王墓の「死の穴」で発見された副葬品のひとつ。
そこには、宮廷の音楽家や芸人とみられる、美しく着飾った人々の遺物がありました。
この木像は、もともと何かの台または楽器を支える一部であったとされています。
金、銅、ラピスラズリといった外国からの貴重な輸入材料を用いて、見事な細工がなされています。
ついでに見たい!展示室56内作品②「ウル王朝のゲーム」
残存する世界最古のボードゲームのひとつ。
古文書によると、2人のプレーヤーがボードの片端から反対側まで駒を進めて競ったそう。
このゲームは、古代近東全域で約3000年にわたり、おこなわれました
ミイラと金箔を施した内棺【展示室63】
展示室62、63には、圧巻の数のミイラが展示されています。
時間の許す限り鑑賞しましょう。
ホーンジテフの内棺
司祭ホーンジテフのミイラは、金箔が施されたマスクと覆いに包み込まれ、人型の木棺2基と共に埋葬されていました。
綿密に施された装飾をじっくりご覧ください。
女神官ヘヌトメヒトの金箔の棺
ラムセス2世の時代、紀元前1250年ごろにアメン神に仕えた女神官ヘヌトメヒトの棺とミイラ。
死後の生命が信じられていた古代エジプトでは、王や神官はとくに入念な方法でミイラが作られました。
ジンジャー
体がむきだしになってしまっているこのミイラは残っていた毛髪が赤色だったことから、「ジンジャー」の愛称で呼ばれています。
このジンジャーは、本来の包帯を巻いて人工的に作られたミイラとは異なり、埋められた場所で自然とミイラ化してしまったものです。
猫のミイラ
エジプト王朝時代の末期には、神々に関連する動物も多くミイラ化されました。
フネフェルの死者の書【展示室63】
死者の書は、死者を死後の世界に案内するための呪文を集めたものです。
このパピルス紙には、オシリスの前での死者の裁判と心臓を天秤にかけている様子が描かれています。
「フネフェルの死者の書」
- 発見場所:エジプト、テーベ
- 時代:紀元前1290年ごろ
- 高さ:39cm
ポートランドの壺【展示室70】
「ポートランドの壺」は、世界で最も有名な古代ローマ時代のカメオ・ガラス作品です。
この壺の制作には、卓越した技能と技術力が必要とされました。
壺に描かれているモチーフは、神話をテーマにした愛と結婚であり、結婚祝いとして作られたと考えられています。
1845年に破壊されてしまったのちに、修復されたため、よく見るとひびが入っています。
高さ24cmとそれほど大きくない壺なのですが、色合いと装飾が繊細で非常に美しく、心奪われる作品です。
「ポートランドの壺」
- 発見場所:イタリア、ローマ
- 時代:5~25年ごろ
- 高さ:24cm
回り方のポイント
激混みのロゼッタストーンは後回し
大人気のロゼッタストーンは、グレートコートから展示室4に入る入口のすぐ先にあるため、いつも人で溢れかえっています。
観光ツアー客などとバッティングしてしまうと、なかなか一番前で見ることができないので、その場合は後回しにしましょう。
戻りやすい位置にあるので、周辺の展示を先に見てしまった方が効率的です。
大人気の2階ミイラは空いている時間帯を狙おう
ミイラが展示されている2階の展示室62、63は通路も狭く、いつも非常に混雑しています。
朝一番の空いている時間に来館できた場合は、グラウンドフロアから回るのではなく、先にミイラを見に行くのがおすすめです。
グラウンドフロアで人気の展示室4は、室内が広いため、ロゼッタストーンの前以外はそこまでぎゅうぎゅうにはなりません。
フロアごとの見学がおすすめ
前述の通り、大英博物館は全部で8フロアあります。各エリアはフロアに渡って展示されていますが、エリアごとに回らず、フロアごとに回るのがおすすめです。
人気の展示が集中している、グラウンド・フロア(レベル0:日本の1階)とアッパーフロア(レベル3:日本の4階)それぞれで、お目当ての展示室を巡りましょう。
レベル-2(アフリカ)、レベル-1(古代ギリシャとローマの建築など)、レベル1(アジア)、レベル2(韓国、中国陶器)、レベル4(絵画と書道、版画と素描)、レベル5(日本)に行きたい場合は、接続されている階段やエレベーターが限られるので、事前にルートを確認しておきましょう。
大英博物館の企画展(特別展)
大英博物館では、常設展示と別にさまざまな企画展が開催されています。
現在開催中の企画展については、大英博物館のホームページをご確認ください。
企画展は有料と無料がある
無料の特別展示は、チケットの購入などは必要なく、ギャラリーのあちこちで開催されています。
有料の企画展は、事前にオンライン、またはグレートコート内のチケットデスクでチケットを購入する必要があります。
当日券は売り切れの可能性があるため、見たい企画展がある場合はオンラインでの事前購入がおすすめです。
「マンガ展」
2019年5月23日~8月26日には日本のマンガをテーマにした企画展「マンガ展(The Citi exhibition Manga)」が開催されました。
マンガ展は、日本国外で開催されるマンガの展覧会として史上最大規模のもので、17万5千人もの人が訪れました。
筆者がマンガ展を訪れた日は週末だったため、当日券は売り切れており、展示室内も多くの人で溢れていました。
「奈良ー日本の信仰と美のはじまり」展
2019年10月現在は、「奈良ー日本の信仰と美のはじまり」展が開催されています。
こちらは無料の企画展示で、開催場所は、館内入って右手すぐの展示室3と普段は日本の常設展示がされている展示室93です。
奈良の寺や神社が誇る国宝などをロンドンの地でじっくり観覧するのも面白いですね。
開催期間は11月24日までなので、旅行期間が重なる方はぜひ覗いてみてください。
大英博物館のおすすめのお土産
ロンドンのミュージアムショップはお土産の宝庫!
ミュージアムのお土産なんて良いものあるの?って思われる方もいるかもしれませんが、イギリスのミュージアムのお土産品はおしゃれなもの、かわいいものがたくさんあります。
ばらまき土産にぴったりのプチプラアイテムからびっくり高額の変わり種商品までご紹介しま
す。
ミュージアムショップの場所
ミュージアムショップ① Great Court Shop
一番大きなミュージアムショップはグレートコートの中央を囲むように、ぐるっと一周分ショップになっています。
お菓子・ポストカード・ステーショナリー・書籍・子ど向け商品などさまざまなアイテムが並んでいるので、ぜひ立ち寄ってみてください。
ミュージアムショップ②
入口から入ってすぐの左手のクロークの前にもショップがあります。
種類は少ないですが、定番のお土産が購入できます。
ミュージアムショップ③Grenville Room
入口を入って右手にはGrenville Roomというショップがあります。
こちらのショップでは、スカーフやアクセサリーなどのファッションアイテムや展示品のレプリカなど本格的な商品が並べられています。
見るだけでも楽しいので、お時間がある場合は立ち寄ってみてくだい。
▲パルテノン神殿の馬の頭部のレプリカは1,650ポンド(約22万5千円)
▲さまざまな作品のレプリカたち
来館の記念に!おすすめのお土産
グレートコートにあるミュージアムショップからおすすめのお土産をセレクトしました。
- スマートフォンケース 19.99ポンド
- ロゼッタストーンのジグソーパズル 13.99ポンド
- 金属製ブックマーク(しおり)10.99ポンド
▲ロゼッタストーンの形がかわいい
- ポストカード 1枚70ペンス 5枚3ポンド 大1.2ポンド
- ミニレプリカ 1つ6.99ポンド 3つ15ポンド
- 本・絵本・シールブック
▲本の種類も豊富
▲大人が見ても楽しい、絵本やシールブック
- ミイラ型缶のチョコレート/鉛筆セット 各8.99ポンド
- ベビー・キッズ向けアイテム
▲かわいいデザインのベビー服まで
▲イギリスのキャラクター、パディントンベアー、トーマス、ペッパピッグなどの絵本も
▲自分で好きに色が塗れるTシャツ
▲日本でもおなじみのピーターラビットグッズも豊富
大英博物館で2ポンド以下で手に入るばらまき土産
日本からきた旅行者によく聞かれるのが、「何か良いばらまき土産はある?」なのですが、イギリス土産ってなかなか良いものがないんです。
まず物価が高いので、良いものはばらまくにしては高いものばかり。
お菓子類は個包装になっていないものも多く、結局定番の紅茶かショートブレットになってしまいます。
そこで今回は、大英博物館内で2ポンド(約270円)以下で購入できるお土産品をご紹介します。
- ネイルファイル(爪やすり) 1.99ポンド
▲エジプトデザインがおしゃれ
- ルーラー(定規)1.99ポンド
▲こちらもエジプトの象形文字デザイン
- カラフルなノート 1.99ポンド
- ブックマーク(しおり)1.25ポンド
大人気のアヒル
ヒストリカルに変化したお風呂に浮かべるアヒルも大人気のアイテム。
価格は、1つ5.99ポンド、3つで12ポンド。
お好きな子を記念に購入して帰ってはいかがですか?
歩き疲れたら館内のカフェやレストランで一休み
さくっとコーヒーブレイクできるカフェ
1階(グランドフロア)コートカフェ
グレートコート内には入って左奥と右奥の2ヵ所にカフェがあります。
品ぞろえが異なるので、どちらも覗いてみてください。
【右奥のカフェ】
飲み物やサラダ、ケーキ、バケットやパニーニのサンドが購入できます。サンドのお値段は高めです。
【左奥のカフェ】
飲み物、サラダ、サンドイッチ、ケーキなどがあり、クリームティー(スコーン+コーヒーor紅茶)も楽しめます。
上階(アッパーフロア)レベル3のコーヒーラウンジ
「古代ギリシャとローマ」エリアと「ヨーロッパ」エリアの間にもコーヒーや軽食が買える小さなラウンジがあります。
品ぞろえは少なめですが、上階の休憩スポットはここだけです。
ランチやアフタヌーンティーが楽しめるグレートコートレストラン
グレートコートの中央の階段を上がった先にはグレートコートレストランがあります。
こちらではランチやアフタヌーンティーがいただけます。
【メニュー例】
- スターター 5.5ポンド~
- サラダ 14ポンド~
- メイン 13ポンド~
- キッズメニュー 9ポンド
[15:00-16:30]
- アフタヌーンティー 22ポンド
- プロセッコつきアフタヌーンティー 28ポンド
- クリームティー 9.5ポンド
ピッツェリア
入口から入ってすぐ左にずっと進んでいくと突き当りにピッツェリアがあります。
こちらでは焼きたてのピザやサラダがいただけます。
【メニュー例】
- ピザ 9.5ポンド~
- サラダ 6ポンド~
- スープ 5.5ポンド
- キッズメニュー 6ポンド~
まとめ
いかかでしたでしょうか?
これほど貴重なコレクションを無料で見られるミュージアムは世界中にもなかなかないですよね。
大英博物館は前述のとおり、とても広いので、適度に休憩をとりながら見学してください。
すべての展示室を一日で回ろうとすると非常に疲れます。
なんといっても無料なので、ミュージアム好きの方は、数日に渡って訪れるのもおすすめです!
見たかった展示を見忘れるなどの後悔がないよう、こちらの記事でばっちり予習して、貴重な海外旅行の時間を有意義に過ごしてくださいね。