スイス・チューリッヒの電車の乗り方ガイド(路線図・運賃・切符の買い方)
【チューリッヒ在住者執筆】世界一の「鉄道王国」と呼ばれるスイスでは、あらゆる場所に簡単に電車で移動できます。今回は路線図と時刻表の見方、チケット購入方法、アプリ、スイストラベルパスやチューリッヒカードなどスイス到着後でも入手できる割引券、スイス4大特急の予約など、スイスの便利な鉄道をご紹介します。
そして一年に何度かスーパーや電気店が売り出す、驚きの格安割引一日乗車券など、スイスの鉄道情報を徹底解説!
さらに、重いスーツケースを持ち歩きたくないあなたに耳寄り情報も! あまり知られていないスイス連邦鉄道 (スイス国鉄)SBBのサービスをこっそりお教えします。知っているとお得な情報も盛りだくさんです。
スイスに来たら一度は電車に乗りたいもの。壮大な景色を見ながら広く綺麗な車内でおしゃべりしたりランチを食べたり、こんな楽しい旅は電車がいちばん! しかもスイスの電車は、特別な特急列車以外は全て予約も指定席も必要ありません。乗車券さえ持っていればスイスイと好きな路線を気ままに旅ができます。
スイス連邦鉄道(スイス国鉄)SBBを利用する際の必要事項や割引情報、そしてSBBならではの便利なサービスを見ていきましょう。
スイス連邦鉄道(スイス国鉄)SBB、チューリッヒの路線図と時刻表
チューリッヒ中央駅からスイスの主要駅ザンクト・ガレン、ベルン、ルチェルン、バーゼル、ローザンヌやジュネーブ駅まで直行電車が走っています。また、山岳地帯への移動(グリンデルワルドやマッターホルン、サンモリッツなど)もホーム(ドイツ語でグライス Gleis)さえ間違えなければ乗り換えも簡単にできます。
スイスの鉄道とチューリッヒ中央駅
4000m級の山が48峰もあるスイスアルプスの雄大な自然の中を横断するスイスの鉄道は、5,380kmと九州の約二倍の長さを誇ります。
HB「ハーベー」と呼ばれているチューリッヒ中央駅は、国内各地への列車はもとより、隣接しているドイツ、フランスやイタリアへのハブ駅でもあります。そして、パリなどへ続く新幹線(TGV)や、オーストリアやハンガリーなどへ向かう夜行列車が発着する国際駅でもあります。
チューリッヒ中央駅構内には365日オープンの店やスーパー、観光案内所、手荷物預かり所、有料トイレ、両替所、レストランなど各種施設とサービスが充実しています。また、ローカル列車「Sバーン」やバス・タクシー乗り場が隣接しており、チューリッヒ空港まで15分以内で移動できます。
国内の電車に関しては、次の項目でご案内する4大特急以外は席の予約は必要ありません。車内は1等席と2等席、禁煙と喫煙に分かれています。路線によっては二階建ての車両も多く走っています。
大人気のスイス4大特急
日本人をはじめ外国からの観光者に憧れの4大特急、氷河鉄道・ベルニナ急行・ゴールデンパスライン・ウィリアムテル特急。夏場はすぐに満席になるので早めの予約をおすすめします。乗車券はスイストラベルパスや他の一日券などでも乗車できます。他の列車と違い、座席の指定が必要です。
氷河鉄道(Glacier Express)
ツェルマット〜サンモリッツまで、7つの谷と291の橋、91のトンネルを抜けて8時間かけてスイスを横断します。予約をしていれば席まで食事を運んでくれます。指定席の予約は3ヶ月前から受け付けており、パノラマ車は座席予約が必要となります。日本の旅行会社に依頼するか、直接ホームページで予約ができます。
参考記事 : Glacier Express
ベルニナ急行(Bernina Express)
サンモリッツ〜イタリアのティラノまでの約2時間20分のルートでは、息をのむほどの景色を堪能できます。深い渓谷を横断し、険しい山肌を抜け、急流や氷河やアルプスの花を眺められます。事前に座席の予約が必要となります。日本の旅行会社で予約も可能ですが、個人で予約の場合はRhaetian Railwayのホームページからできます。
参考記事 : Rhaetian Railway
ゴールデンパスライン
モントルー〜インターラーケンを結ぶMOB路線。ツヴァイジンメン(Zweisimmen)で乗り換え。モントルーのある美しいレマン湖と名峰ダンデミディを眺めながら、世界遺産のラヴォー地区の葡萄畑を走り抜け、山里グシュタードへ向かい、乗り換え後は透き通るトゥーン湖畔を走りインターラーケンまで運行しています。これも人気の列車なので、早めの予約を。
参考記事 : ゴールデンパスライン
ウィリアムテル特急(Wilhelm Tell Express)
ルチェルンからロカルノまでの全行程5時間の優雅な旅。スイスの英雄ウィリアムテルの名前のついたこの列車は、乗車券とランチがセットになっており、船と鉄道を組み合わせた絶景ルートが人気です。前半は中央スイスルチェルン〜ルチェルン湖を船で移動。フリューエレンで下船して鉄道にてサンゴッタルド峠のトンネルを通り、世界遺産の町ベリンツォーナ経由でロカルノまたはルガーノに着きます。パッケージツアーとして予約の場合は、日本の旅行会社または現地の旅行会社にて予約が可能です。
参考記事 : ヨーロッパ鉄道チケットセンター
チューリッヒ市内と近郊の電車路線図
チューリッヒ市内は電車路線図の110番、チューリッヒ空港は121番など、乗車券を購入する際に行先がどこの料金領域なのかを調べられます。出発地の券売機にこの番号をインプットすることによって、料金が分かる仕組みとなっています。
指定された時間内なら何度でも使えます。もちろん乗り換えも同じ乗車券を使えます。
時刻表の見方
駅構内の所々にこのような黄色の時刻表が表示されています。Abfahrtは出発という意味。この他、Ankunft(到着)時刻表もあり、黄色の代わりに白い時刻表となっています。いちばん右端に記されている数字はホーム(Gleis)の番号です。チューリッヒ中央駅などの主要駅だと、右の写真のように電光掲示板がホームの近くにありますので、乗車の前にもう一度確認してください。ホーム番号は右端となります。
切符の買い方
電車に乗りたいけれどチケットを買うのはちょっと不安......という方。いちばん簡単なのは日本で「スイストラベルパス」を購入してからスイスに来ることですが、自由気ままに切符が買えればお安く済むこともありますね。ここではチケットの購入方法を3つに分けて解説いたします。
チケットカウンターで買う場合
チューリッヒ中央駅やチューリッヒ空港駅のチケットカウンターでは、英語を話すスタッフが親切に説明してくれて、旅程のアドバイスもしてもらえます。繁忙期は旅行者の長い列ができるので、時間に余裕をもって並びましょう。カウンターでは両替も可能です。
発売機で買う場合
(写真左)発売機はこのような形をしています。
(写真右)画面の右下のEnglishというボタンを押して予約画面に入っていきます。画面の左側は行き先の駅名。左側の駅名リストの中に希望の行き先がなければ、左下の「Alternative Connection」をタッチします。
(写真左)「Enter destination point」をタッチして駅名を入力します。
(写真右)駅名が出てきたらその駅名をタッチしてください。
(写真左)当日出発の場合は「immediate departure」を選んでください。
(写真右)片道か往復かを選択します。
(写真左)一等席「1st class」又は二等席「2nd class」を選びます。
(写真右)大人で半額チケットがない場合は「1XAdults w/o Half-Fare card」を、子供又は半額チケット所持者は「1XHalf-Fare card/children」を選択します。二人以上の予約の場合はいちばん下の「Several tickets」をタッチして希望の人数を入力します。
(写真左)この画面で支払いのプロセスとなります。キャッシュでのお支払いはお金を所定の場所に入れます。
(写真右)クレジットカードでの支払いの場合は、券売機の右側にクレジットカード支払い用の端末が設置されているのでそこで支払いをして下さい。支払いが済めば下のポケットから乗車券が出てきます。レシートも希望すれば発行できます。
アプリで楽々発着や乗り換えのチェックと切符の購入
SBBの専用アプリをダウンロードすれば、詳細な時刻表や料金を確認でき、クレジットカードの支払いでチケットが買えます。初めは少し不安ですが、使い始めると手放せなくなるアプリです。予約する路線や時間帯によっては通常より安く購入できることもあるので、お得なこともあります。最後の支払いの際は「As a guest」(ゲストとして)を選択すれば、わざわざ会員として登録する手間も省けます。あとはクレジットカードの情報を入力すると購入できます。
SBB Mobileアプリの使い方
左上の「Standard Timetable」をクリック。
発着駅と時間を選択。
半額カードがない場合は「I don’t have a Half Fare travelcard(1/1)」を選ぶ。View offersを選択。
片道か往復かを選ぶ。
2nd cl.(2等)か1st cl.(1等)かを選び、「Purchase ticket」へ。
参考記事 : SBB Mobile
SBB Mobileアプリのダウンロード
お得な割引切符情報
スイスの鉄道は6歳未満までは無料です。
スイストラベルパス、フレックス、チューリッヒカード、半額カードはSBBのチケットカウンター、ツーリストインフォメーション、またはオンラインで購入が可能です。
スイストラベルパス(Swiss Travel Pass)
利用日を連続的に使用するタイプ。使用初日の日を記載すると使用可能となります。
主な鉄道、バスやトラム、遊覧船が乗り放題で、500ヶ所の美術館の入場料が含まれます。これを見せると登山鉄道などに乗車の場合、30%〜の割引ができます。特別パノラマ車両(氷河鉄道、ベルニナ急行、ゴールデンパス、ウィリアムテル特急)の乗車券としても使用できまが、座席指定料金が必要となります。
スイストラベルパス料金表 スイスフラン(CHF)
※料金は2019年12月まで有効
利用期間 | 料金 1等席 | 料金 2等席 |
---|---|---|
3日間 | CHF 232 | CHF 369 |
4日間 | CHF 281 | CHF 447 |
8日間 | CHF 418 | CHF 663 |
15日間 | CHF 513 | CHF 810 |
スイストラベルパス フレックス(Swiss Travel Pass Flex)
好きな日に単発的に使用できる自由なパス。トラベルパスと違い、連日で使用する必要はありません。ただし、必ずトラベルパスの券面に利用日の記載をしてから乗車してください。
フレックスパス料金表 スイスフラン(CHF)
※料金は2019年12月まで有効
利用期間 | 料金 1等席 | 料金 2等席 |
---|---|---|
3日間 | CHF 267 | CHF 424 |
4日間 | CHF 323 | CHF 514 |
8日間 | CHF 467 | CHF 742 |
15日間 | CHF 563 | CHF 890 |
半額カード
1ヶ月使える半額カード。料金は120スイスフラン。これがあると、乗車券が全て半額で購入できます。これに加えてスイスファミリーカードを持っていると、6歳以上16歳までの子供は親との同行が条件で無料で乗車できます。
チューリッヒカード
料金
種類 | 料金 大人 | 料金 子供 |
---|---|---|
24時間カード (1日券) | CHF27 | CHF19 |
72時間カード (3日券) | CHF53 | CHF37 |
特典
チューリッヒ市内のバス、トラム、ケーブルカーが乗り放題。
周辺のチューリッヒ空港やユトリベルク(Uetliberg)へも無料で移動可能。
チューリッヒ市内の博物館や美術館が無料または割引に。
旧市街のシティツアーや様々なイベントの割引(最大50%オフ)。
購入方法
チューリッヒ空港
到着1、2のSwitzerland Infoの窓口で(5:45〜23:30まで営業)。
P2カーパークのサービスセンターにて。
地下1階(Level1)のスイス鉄道SBBの窓口で。チューリッヒ中央駅
Tourist Information窓口で。
自動券発売機でも購入が可能です。
時々売り出す他社の驚き格安一日乗車券
一年に2度か3度、大手スーパー「COOP」や電気店「MediaMarkt」が格安の鉄道一日券を販売しています。各セール期間は1ヶ月ほどあるので、その期間に旅行するならCHF49で一日中どこにでも行けます。もちろん、半額カードなどの他の割引券は必要ありません。スイス旅行が決まったら、「SBB Tageskarten」で検索してみてください。春や秋ごろによく売り出される商品です。
SBBの耳寄りサービス情報
スーツケース配送サービス
Luggage station to station(駅から駅への配送サービス)
目的地までの電車のチケットさえ持っていれば、無料で荷物だけ先に送ってしまうことのできるサービスです。19時までに出発駅へ荷物をチェックイン。2日後の朝9時に目的地駅にてピックアップが可能です。自転車やスノーボードなどを先に送ることもできる駅もあるので、便利なサービスです。重量限度やコンディションなどもそれぞれの駅で違うので詳細はSBBホームページで。
Luggage door to door(滞在先から滞在先への配送サービス)
出発先(空港やホテルなど)に荷物をピックアップしてくれて、目的地のホテルまで配送してくれるサービスです。料金は有料で別途かかります。ピックアップされた荷物は翌日には配送可能です。詳しくはSBB窓口またはホームページまで。
ビジネスゾーン
仕事を静かな環境でできる車両があります。WiFiも自由に繋がり、仕事がはかどります。例えばチューリッヒ〜ルチェルン、チューリッヒ〜ベルン、チューリッヒ〜ジュネーブなど特別なルートの場合のみですが、1等席の乗車券が必要となります。特別席なので、出発の5分前までに予約が必要です。
SBBのアプリから、または電話でも予約が可能です。
- RAIL SERVICE TEL:0848 44 66 88(有料、CHF 0.08/分)
まとめ
スイスの鉄道情報は、探せば探すほど宝の山のようにざっくざっくと耳寄り情報をたくさん掘り出せます。これだけ知っていれば、あなたを安心ワクワクの鉄道の旅へと導いてくれるでしょう。しゅっぱつしんこう〜!
ロコタビでチューリッヒ在住の日本人ロコに質問すれば、現地ならではの耳寄り情報を教えてくれることでしょう。Q&Aは無料ですので、ぜひ利用してみてくださいね。