ドイツのフリーランス、就労ビザについて
mintblueさん
フリーランスビザの条件でドイツ国内の企業2ヶ所から推薦が必要と聞いたのですが、それはマストなのでしょうか。調べると最初からは取引先がなさそうな方もいらっしゃるような気がしたので、フリーランスビザをお持ちの方にどのくらいのハードルなのかお聞きしたいです。また、フリーランスビザでレストランなど現地でバイトすると言うようなことはできるのでしょうか。
就労ビザについては、現地の日本食レストランでビザサポートをしてもらえるという情報をMixBなどでよく見かけるのですが、それでドイツに住まわれてる方はいらっしゃいますか?
労働環境の話も聞くので、簡単にビザや保険の面倒を見てもらおうというのはやはり都合が良すぎるでしょうか。
また、そのような就労ビザで、(もちろん大々的ではないですが)フリーランス的な活動をするのはやはり危険でしょうか?
ご教授いただけると嬉しいです。よろしくお願いいたします。
2023年6月21日 19時59分
かえるんさんの回答
mintblueさん こんにちは はじめまして Stuttgart近郊のかえるんと申します。
こちらで学業修了、職探し等を経て、フリーランスならぬ「フライベルーフ(≒自由)」業での滞在許可から最終的に定住許可を得たものです。
(「滞在許可」と「ビザ」は異なるものなので、以下もそこは区別して記述します。お尋ねの「フリーランスビザ」とはおそらくは「フライベルーフ」での「滞在許可」です)
まず、タグにあったのでベルリンでの要件をみてみましたが、ベルリンでは推薦状2通以上が報酬ベースでの契約の場合に必要とあります。フリーでの契約は一般に報酬ベースですからやはり基本的に2通は必要のようです。これには恐らく偽装請負を避ける意図が含まれます。1通のみでは1社と専属契約をしている=フリーでない可能性があるためです。なお取得先の地域制限は書かれていません。自分の時は6-7通ほど持っていきましたが(ベルリンではありません)、重要なのは結局「十分な収入源になりうるか」でした。
次に、いわゆるフリーランス感覚で滞在許可が下りる業種は限られています。よく混同されるのですが、ドイツには「個人事業主としての(フリーランス)」滞在許可はありますが、単なる「フリーランス」での滞在許可はなく、例外的に個人事業主にならなくてもよい業種「フライベルーフ(=直訳で自由業)」への滞在許可があるのみです(いわゆる滞在法第21条)。
前提として、ドイツでは日本と異なり、フリーランスで働くためには法律上、基本的に個人事業主になる必要があります(ドイツ人も)。ですからフリーランスで滞在許可を得るにはまず「個人事業主」になる必要があり、個人事業主としての滞在許可条件を満たしていれば、滞在許可が下りる形です。ですが、こちらは資金も要り手続きなどが非常に面倒です。
フリーランスビザと巷で呼ばれているものは恐らく、例外的にこの個人事業主でなくてもかまわない、「Freiberufフライベルーフ(直訳で自由業)」での滞在許可を指します。
このフライベルーフには、学術的、芸術的、文筆業的或いは教育的な職業の他、基本的になんらかの資格を要する職業、例えば医師、士業、エンジニアなどが当てはまり (いわゆる所得税法18条)、最近ではIT関連なども学歴証明などで認められるようになっています。明確な資格がなくて認めてもらうには実力などを示せるもの(つまりは推薦状や作品、裏打ちのある事業計画など)が必要になります。芸術関連、ジャーナリスト、写真関連業などではこちらを提出での取得も多いかと思います。
というわけで、mintblueさんがもし、それだけで食べていける何らかの資格や特技をお持ちで、それを証明・支援できる学歴や得意先を示せれば(他にも十分な生活資金などの条件はありますが)、Freiberuflerフライベルーフラーとしての滞在許可申請は可能です。その際、活動可能な業種は滞在許可に明記されたものに限られるので、申請時には関連性のありそうなものをすべて書き連ねておきます。
就労滞在許可については、日本人には、「ビザ」なしに就労目的で来独でき、仕事先があるという理由で(労働エージェント合意の下)滞在許可が下りる特典があります。ただ、この特典で得た滞在許可ではその仕事先のみでしか働けず、その契約がなくなれば本来抹消になり、この滞在許可での兼業をしたければ、役所にまた許可申請する必要があります。初めの許可取得には生活可能な収入額を1社から得る必要があり(つまりは一社での労働時間が長い筈なので兼業の余裕がない)、兼業許可には地域経済への貢献などそれなりの理由がいるので、申請は出来ても許可取得は中々難しいように思います。無許可での活動はバレたら滞在許可取り消し事由になります。
健康保険については、就労すれば会社側の半分負担は法律上の義務ですので、それについては甘えでも何でもありません。
滞在許可取得支援を(餌に)する業界は飲食店に限らずあります。会社がブラックか否かも問題ですが、もっと大切なのはそれに対処できる知識や能力を持ち合わせているかだと思います。例えばドイツ語が出来ないと労働契約書も正しく理解できず、あとからブラックだと分かっても他に頼るところが中々ありません。ドイツの労働者はある意味日本よりも法律に守られています。例えば病休は有給休暇とは別です。そのようなことを知らずに契約書に書かれた悪条件を認めてしまったら、その条件で働くしかありません。会社任せにしたら、会社の言うなりになるしかないのです。そういう意味で、頼るのが会社のみという状態が好ましくないのはお分かりいただけると思います。
お役に立てば幸いです。何かよい方法が見つかりますように。
かえるん
2023年6月22日 8時31分
この回答への評価
とても詳しくありがとうございます!大変参考になります。
2023年6月23日 4時43分
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