イギリスのEU離脱について中国在住者の感想を聞きたいです
Yutakaさん
今回イギリスの国民投票で、EU離脱が確定しましたが、最近イギリスと関係を強めていると言われる中国の状況はどうなのでしょうか?
日本の報道だと今回中国はイギリスの選択を尊重すると発表したといわれています。
実際に現地に住んでいる人の目線として、今回のEU離脱の結果や今後の自国への影響についての感想を頂けると大異変参考になります。
よろしくお願いします。
2016年6月25日 13時39分
daidaiさんの回答
御回答遅くなり申し訳ございません。BREXITの時には当方すでに帰国しておりますが、中国在住者だった者として回答いたします。個人的にはEU離脱により大きな変化というのはないと思います。全方位円高になるくらいで、それはリーマンショック後と同じような感じですね。異なるのは、世界的に投資先がないところですが。
御存知だと思いますが、近年、中国のEUへの歩み寄りは、ギリシャにおける政治的な土地の買収や英国における原発の建造、ドイツにおける企業の誘致等多岐にわたっております。特に英国については英国王家に対して注文を出すほど、英国政府に対して強い立場を持っており、AIIBをぶち上げたときにも確か最初に手を挙げた西側諸国ということもあり、EU離脱で強い影響を受けそうです。
現実問題として、英国のEU離脱により、中国が政策転換するかどうかについてはわかりませんが、今までと変わりないか、より関係を強める方向になると思います。理由としては、英国のEU離脱により英国とEUとの関係に大きな変化が現れるかどうかは、現状から判断すると、ない、からです。
EU離脱も手続きだけで2年以上かかるものですし、EUの台所事情を見ても英国のEU離脱に対応するためだけにリソースを費やせるほどの余裕がなく、ほとんど現状維持となるだけでしょう。中国はもともと政治で生きている国で情報戦にも強いので、弱体化するEUや英国の影響が弱まった地域に駒を進めると思われます。そうすると中国とそれぞれの宗主国との関係が悪化するので、そうならないために現状維持か、より関係を強めるでしょう。可能性として高いのはルール作りに参画することです。個人的にはあと3年はないと思っていたIMFのSDR入りを昨年末に決定、いよいよ来月から正式に導入されるので、その影響を見て今後の動きが決まるものと思います。
一方で日本への影響ですが、報道機関自身がEU離脱のことを理解していないで報道しているので、大混乱が予想されます。ビジネスなので当たり前の話ですが、各企業により方針が異なることに対して、英国政府からの信頼を失うことにならないか心配です。英国政府に対しては政治的に友好的なメッセージを出したほうが、この後に発生すると思われる火消対応の布石になり、外国人投資家からの印象を多少は良いままにしてくれると思います。実際、中国はそうしていますし。また、すでに傾向として表れていますが、対ポンドに関わらず、全方位円高になることから、いわゆるグローバル企業収益の悪化は免れません。内需型企業は輸入材を使用している場合には収益増となりますが、国内需要そのものが減少しているので、単年度に終わる程度の増益です。
EU離脱の中国に対する影響は以上の通りで、あまり変わらないのでは、と思います。日本に対する影響も、せいぜいが全方位円高とマスメディアがもたらす大混乱くらいで、政治的に対応すべき課題だと思います。EU離脱とソ連崩壊やユーゴスラビア解体は異なりますし、英国やEUで内戦が始まるわけでもないので、日本の報道機関は冷静に対応してほしいですね。
中長期的な視点に立つと、世界は問題が山積みのため、一つ一つクリアしなければならないです。陰謀論者の物騒な考えはおいておくとして、一番楽な方法は、19年のW杯、20年の五輪開催に向けて国内需要が増えるよう勢いをつけ、その勢いを維持し続けることです。それは、少し前の中国のやり方同様で、問題が多い中で調子が良いという、存在感を際立たせる唯一の手段で、日本の国内需要目当てに来る諸外国との関係性を、新たに構築できる手段でもあります。幸い日本は内需国家なので、中国のような貿易国家と異なり、為替による影響は誤差の範囲に収まります。できるかどうかは、政府の手腕次第ですが……
2016年9月16日 11時14分
この回答への評価
回答ありがとうございます。遅くなり申し訳ありません。
参考になりました。
2017年5月7日 20時42分
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