【事例】ハノイの文具店を7カ所視察|出張の空き1日で市場の実態を掴む

海外出張の日程に、丸一日だけ予定の入っていない日ができたとして、その1日を市場の視察に使えるでしょうか。土地勘も言葉もない都市では、店を探して移動するだけで半日が消えます。
株式会社オフィスベンダーは、ベトナム・ハノイへの団体視察で空いたその1日に、現地在住日本人(ロコ)のアテンドを付けて文具店を中心に計7カ所を回りました。具体的な海外進出の計画があったわけではなく、可能性が「ゼロではない」を確かめるための視察です。
一日で何が見えて、何が見えなかったのかを、白木二郎さんに伺っています。
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目次
海外出張の空き1日をハノイの文具市場の視察に充てた
― 今回、ベトナム・ハノイへ視察に行かれた背景を教えてください。
白木さん: もともとは銀行関連の視察でベトナムのハノイに行くという企画がありました。当初は現地の繁忙期と重なっていたこともあり、一度は行くのを断念していたのですが、コクヨさんのベトナム関連の記事を目にしたり、周囲からも「ビジネス的に今のベトナムは勢いがあって面白い」という話を耳にする機会が増えまして。「それなら、まずは一度自分の目で現地を見ておこう」と思い直し、渡航を決めました。
― 具体的な海外進出の計画があったのでしょうか?
白木さん: いえ、現時点で具体的な計画があるわけではありませんが、可能性としては「ゼロではない」という状況です。団体視察の日程の中に、丸一日フリーになる日があったので、その時間を使って現地の文具店を回り、日本の文具メーカーがどの程度進出しているのか、現地のトレンドはどうなっているのかを肌で感じたいと考えました。
文具業界の経験があるロコをハノイで探した
― ロコタビを利用された経緯と決め手を教えてください。
白木さん: 現地調査をしたいとは思いましたが、ハノイの土地勘もなければ、ベトナム語もわかりません。移動手段の確保すら不安だったため、「現地の日本人にアテンドしてもらいたい」と考え、ネット検索でロコタビを見つけました。
実は最初、現地の日本文具メーカーの方にアテンドをお願いできないか打診したのですが、ちょうど「テト(旧正月)」の時期で人手が足りず、断られてしまったんです。ただ、その方から「現地の文具店リスト」をいただくことができたので、それをベースに動いてくれる人をロコタビで募集しました。
― 最終的な決定打は何だったのでしょうか?
白木さん: 募集を出したところ、偶然にも「以前、文具業界で働いていた」という経歴を持つロコさんから応募があったんです。同業者の目線で一緒に回っていただけるのは非常に心強いと思い、それが決定打となりました。
文具店7カ所で見た中高級ラインの不在と、日系大型店舗の実態
― 実際の視察はどのように進みましたか?
白木さん: 事前に「行きたいお店のリスト」をお送りし、ロコさんが効率的な視察ルートをあらかじめ組んでくれました。当日はロコさんの案内で、Grab(配車アプリ)を使いながら日系の大型店舗を含む計7箇所を回りました。 移動中も、文具業界の情報のやり取りだけでなく、現地に住んでいるからこそわかる経済状況や社会情勢など、リアルなお話を聞けたのは非常に勉強になりました。
― 実際に回ってみて、どのような気づきがありましたか?
白木さん: 想像していたよりも、日本メーカーの商品が少ないことが印象的でした。また、ベトナムのメーカー自体が自社店舗を持っているケースもあり、日本にはない商習慣に驚きました。 ただ、こうした日本とは異なる構造だからこそ、攻め方次第では入り込む余地があるというか、新たな介入のチャンスが隠されているとも感じました。
特に大きな収穫だったのは、自社が今後売り出したい「中高級ライン」の文具が、現地ではほとんど陳列されていなかったことです。物価や生涯年収の差を考えると、今のまま進出しても苦戦するであろうという現実を、実際に見ることで垣間見ることができました。
※ロコタビ補足
ベトナムの統計局および最新の経済指標(2025-2026年推計)に基づくと、現地の経済状況は以下の通りです。
- 平均月収: 国全体の平均は約4.5万円〜5万円程度ですが、ハノイやホーチミンなどの主要都市部のホワイトカラー層や熟練労働者では、約8万円〜12万円に達しています。
- 生涯年収の推計: ベトナムの一般的な生涯年収は、職種や昇給率にもよりますが、およそ2,500万円〜3,500万円程度と推計されます(都市部の平均的な現役世代を想定)。
- 日本との比較: 日本の平均生涯年収(約2.3億円〜2.7億円)と比較すると、約7倍〜9倍の開きがあります。
進出にあたっては、こうした現地のリアルな購買力と、それに見合った価格戦略の把握が不可欠です。
― 日系の大型店舗の状況はいかがでしたか?
白木さん: 「現地での事業展開が極めて順調である」という事前情報もありましたが、実際に行ってみると飲食フロア以外は人がまばらでした。入居している日本メーカーも、賃料との兼ね合いで販売価格が高騰しており、苦労されているようでした。これも現地に行かなければわからなかった「現状」です。
渡航前の事前マーケティングという使い方
― 今後の展開や、ロコタビの活用イメージについて教えてください。
白木さん: 今後も海外に行く機会があれば、ぜひ活用したいですね。他社さんの事例のように、実際に渡航する前の「事前マーケティング」として、現地のロコさんにリサーチを依頼するといった使い方も有効だと感じました。
この事例のまとめ
- 銀行関連の団体視察の日程に丸一日フリーの日があり、その時間を現地の文具店を回ることに充てた。具体的な海外進出の計画があったわけではなく、可能性が「ゼロではない」状況での視察だった
- ハノイの土地勘もベトナム語もなく、移動手段の確保すら不安だったので現地在住日本人のアテンドを探した。決め手は、以前文具業界で働いていた経歴を持つロコから応募があったこと
- 当日はGrab(配車アプリ)で移動しながら、日系の大型店舗を含む計7箇所を回った。日本メーカーの商品が想像していたより少なく、ベトナムのメーカー自体が自社店舗を持っているケースもあった
- 最大の収穫は、今後売り出したい「中高級ライン」の文具が現地ではほとんど陳列されていなかったこと。物価や生涯年収の差を考えると、今のまま進出しても苦戦するであろうという現実を、実際に見ることで確かめられた
「現地での事業展開が極めて順調」という事前情報があった日系の大型店舗も、行ってみると飲食フロア以外は人がまばらでした。進出の可否は、資料で分かることと、行かなければ分からないことを切り分けてはじめて判断できます。
【ご協力企業】 株式会社オフィスベンダー
公式サイト:https://www.office-vender.com/
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