【事例】台湾の展示会通訳を高雄在住の日本人に依頼|初出展で高齢者支援サービスへの反応を確かめる

台湾の展示会通訳を、高雄に住む日本人に依頼して初出展に臨んだ事例です。秋田県で高齢者・障がい者の総合支援事業を手がける株式会社needs nowの代表・鐙将算さんは、2026年10月に台湾・高雄で開催されたシニア向けの展示会「2026 AGELESS EXPO」に自社ブースで出展し、ロコタビで現地在住の日本人ロコさんに3日間のブース通訳を依頼しました。ブースでは来場者から直接質問を受けたほか、会期中には台湾の施設経営者との商談の機会も得ています。
この事例の要点
- 課題:台湾への進出を考えるなかで、高雄で高齢者支援サービスがどのように受け止められるかを確かめたいと考えていた。
- 取った手段:高雄のシニア向け展示会に初めて自社ブースで出展し、ブース通訳を現地在住の日本人ロコさんに依頼した。
- 出展後の変化:来場者から台湾での関心の向き方や暮らしの事情を直接聞けたほか、ロコさんの説明を通じて、現地の施設経営者と役割分担について具体的に話すことができた。
初めての海外出展で、ブースでの説明や現地企業との商談がうまく伝わるか、不安はありませんか?ロコタビでは、出展地に住む日本人ロコが、事前資料の読み込みから当日のブース通訳、商談の通訳までサポートします。
目次
台湾への初出展|紹介をきっかけに自社ブースで準備
― needs nowの事業内容を教えてください。
鐙氏:当社は、高齢者・障がい者の総合支援事業を行っています。
― 今回、台湾の展示会に出展したきっかけを教えてください。
鐙氏:ジェトロの外郭団体からご紹介いただいたことがきっかけです。当社は台湾への進出を考えていたため、直近で開催される展示会としてご紹介いただき、出展を決めました。お声がけをいただいたのは6月です。展示会への出展は、今回が初めてです。
― 出展の準備はどのように進めましたか。
鐙氏:出展の申請や現地の主催者とのやり取りは、AIを使いながら私が対応しました。
― 台湾に注目した理由を教えてください。
鐙氏:一番の理由は、日本との親和性が高いことです。事前に得た情報でも、日本で展開している事業であることを伝えると、現地での認知度や注目度が高まりやすいと聞いていました。
通訳の選び方|台北での依頼をきっかけに評価を見て選ぶ
― ロコタビを知ったきっかけを教えてください。
鐙氏:今年6月に台湾を訪れた際、ロコタビを通じて現地の通訳の方に依頼しました。主に台北での依頼でしたが、通訳の質が非常に良かったため、今回の展示会でもロコタビを使うことにしました。
― 最終的な決め手は何でしたか。
鐙氏:現地に住んでいる方なら、出展する地区についても詳しいのではないかと考えました。そのうえで、サイト上の評価を見て、この方なら間違いないと判断してお願いしました。
高雄の会場とブース|資料を読み込んだロコさんによる説明と商談
― 当日はどのような体制で出展しましたか。
鐙氏:当社からは私一人で参加し、ブースにはロコさんと二人で立ちました。
― 会場の雰囲気や来場者の傾向はいかがでしたか。
鐙氏:高齢の方がこれからを楽しく過ごすための展示会で、60代から70代後半の方が主に来場されていました。新しいビジネスを探している企業側の参加も目につきました。出展内容は、健康器具や安否確認に関するものなど、健康に過ごすための商品や制度の紹介が多かったです。
― ブースでのロコさんの様子で、印象に残っていることを教えてください。
鐙氏:展示会の前に、当社の事業内容や会場で配布する資料をお渡ししていたのですが、その予習がとにかく素晴らしかったです。会期は3日間で、初日、2日目とさまざまな質問を受けましたが、ロコさんは一つひとつを丁寧に自分のものにして、通訳というより当社の社員のように現地の方々へ説明してくださいました。
― 会期中、現地企業との商談もあったそうですね。
鐙氏:はい。当社と同じ思いを持って高齢者支援に取り組んでいる、台湾の施設経営者の方と商談の機会をいただきました。その場では、ロコさんがまるで当社の営業担当のように事業内容を説明してくださり、私は横で相槌を打っているだけ、というほどでした。事前に資料を読み込み、会期中の質疑で理解を深めていたからこそできたことだと思います。通訳をお願いしたつもりが、心強い営業パートナーを得たような感覚でした。
台湾でも、住み慣れた自宅で暮らし続けたいと考える高齢の方は多くいらっしゃいます。そうした方に向けて、身元保証を含めた支援を現地の事業者と組んで届けられないか、現在検討を進めています。当社が単独で進出するよりも、同じ志を持つ現地企業と手を組む形のほうが、台湾では現実的で、利用者の方にとっても安心につながると考えています。
来場者の反応|台湾で感じた高齢者支援への関心
― ブースでは、どのような質問が多かったですか。
鐙氏:当社が日本企業であることから、まずは「日本ではこの事業がすでに行われているのか」という質問から始まりました。台湾では、日本でいう終活に関心を持つ方はまだ多くないものの、お一人で暮らす方や家族との関係が疎遠になる方のことは、社会の課題として受け止められています。そのなかで最も多かったのは、「台湾でこの事業を始めるのか」という質問でした。ブースを訪れたのは、主に一般の来場者の方です。
― 日本と台湾で、最も違いを感じたのはどのような点ですか。
鐙氏:日本では高齢者の比率が報道などで身近に伝えられていますが、台湾の方には「まだ大丈夫」という楽観的な受け止め方があるように感じました。国民性によるものかもしれませんが、その違いはとても大きく感じました。一方で、当社が提示した内容には非常に関心を示していただき、「こういうものが本当に必要なんだ」というお話もいただきました。
― 会場では、ほかにどのような情報を得ましたか。
鐙氏:日本と比べて、比較的富裕層が多いという印象を持ちました。会場では、インドネシアやベトナムの方に住み込みで働いてもらい、家政婦のような形でサービスを受けている家庭も多いというお話を伺いました。日本とは違う形で、どのようにサービスを提供できるかを考える必要があると感じています。
出展前後の情報収集|AIでの下調べと台湾の法務・税務の確認
― 出展の前は、台湾の情報をどのように集めていましたか。
鐙氏:主にAIで一次情報を集めるところから始めました。そのうえで、日本で高齢者向けの介護施設を運営している会社からお話を伺い、二次的な情報で裏付けをとってから現地に向かいました。
― 今回の出展では、どのようなことを確かめたいと考えていましたか。
鐙氏:高雄でサービスを展開できるかどうかを確かめる、マーケティング調査が目的でした。実際に展示会に参加してみると、当社のサービスを心待ちにしている個人の方が非常に多くいらっしゃいました。また、アプリケーションを作成している方など、さまざまな業界の方からもお話をいただきました。
― 現地企業との商談がスムーズに進んだ要因は何だと思われますか。
鐙氏:展示会の前に、法務面について現地の弁護士からある程度お話を伺えていたことが大きかったと思います。たとえば日本では、法人が任意後見人を引き受けることができます。一方、台湾で任意後見にあたる「意定監護」については、日本人や日本法人が監護人になることは認められず、会社の定款に記載しても同じだと伺いました。また、台湾の会社法(公司法第16条)では、ほかの法律や定款に定めがある場合を除き、会社は保証人になれないと定められています。そのため、日本で当社が行っている身元保証の仕組みを、そのまま台湾に持ち込むことはできません。こうした違いを事前に押さえていたことで、商談では「どの部分を現地企業が担い、どの部分を当社のノウハウで支えるか」という具体的なお話ができました。
― 会計や税務の面で、日本との違いは感じましたか。
鐙氏:日本の消費税にあたる台湾の「営業税」は税率5%と日本より低い一方で、「統一発票」という政府が管理するインボイス制度があり、日々の証憑管理は日本以上に厳密だと聞いています。法人税にあたる「営利事業所得税」は税率20%で、利益を配当せずに社内に残すと、追加で5%課税される仕組みもあるそうです。現地企業と組んで進める場合は、どちらの会社で売上を立て、費用をどう分担するのかを早い段階で決めておく必要があると考えています。
― 今後もロコタビを利用したいと思われますか。
鐙氏:サイト上の評価のとおりの方でした。次に高雄へ行くときも、今回と同じ形でお願いしようと思っています。
台湾の展示会で通訳をつけて出展する担当者へ|この事例からわかる4つのポイント
- 事業内容と配布資料を事前に共有する:鐙さんは会期前に事業内容と配布資料をロコさんに渡していました。ロコさんはそれを読み込み、会期中に受けた質問も一つずつ自分のものにして、来場者や商談相手に説明しています。
- 出展地に住み、評価の高い人を選ぶ:鐙さんは、サイト上の評価と、出展地区に住んでいて地域の事情に詳しいことを決め手に通訳を選びました。
- 展示会を、来場者の声を直接聞く市場調査の場として使う:来場者からの質問の内容や会場での会話から、台湾で高齢者支援サービスに向けられる関心や、日本とは異なる暮らしの事情を確かめています。
- 法務・税務の違いを事前に確認しておく:鐙さんは出展前に、台湾の後見制度や会社の保証に関する規定を現地で確認していました。日本の事業の仕組みがそのまま使えない点を把握していたことが、現地企業との具体的な商談につながっています。
【ご協力企業】株式会社needs now
秋田県潟上市に本社を置き、2019年(令和元年)6月に設立。高齢者・障がい者の総合支援事業として、身元保証、任意後見、財産管理・金銭管理、生前・遺品整理、死後事務の受託などを手がけています。「お客様の、将来の不安や悩みを解消し、尊厳ある生活をサポートする」をテーマに掲げています。
▶ 公式サイト:https://www.needs-now.net/
海外の展示会出展に、現地在住者のサポートを
現地のコネクション不足で、海外ビジネスの機会を逃していませんか?ロコタビなら、世界180カ国・2,500都市以上の現地在住日本人が、通訳・商談アテンド・市場調査まであなたのビジネスをサポートします。
初めての海外出展でも、出展地に住むロコに事業内容や配布資料を事前に共有しておけば、ブースでの来場者への説明から現地企業との商談まで、現地の事情をふまえて対応できます。