サンフランシスコのケーブルカー乗り方ガイド(料金・観光名所・路線図)
【アメリカ・サンフランシスコ在住者執筆】サンフランシスコと言えば、坂道を走るケーブルカー! 今回は、乗ってみたい憧れのケーブルカーを徹底解説!! 歴史から路線図や料金体系、ケーブルカーで行ける観光名所、そして乗車レポートもご紹介いたします。終わりには乗る前に知っておくと便利なQ&Aもつけました。
これを読めば、世界中の多くの人から愛されるケーブルカーの魅力を余すことなくサンフランシスコ旅行で堪能できますよ。
関連記事: 「サンフランシスコの電車乗り方ガイド(路線図・料金・チケットの買い方・乗り換え)」
サンフランシスコのケーブルカーの基本情報
サンフランシスコの街中を走るケーブルカーはサンフランシスコの名物であり、ケーブルカーの歴史は古く約150年も前からサンフランシスコの街を走っています。地震でサンフランシスコの街が崩壊しかけても、電車が主流になってケーブルーが廃止されそうになっても、サンフランシスコ市民から愛され、守られ、今現在に至ります。
ケーブルカーとは
サンフランシスコ市民から愛され守られ約150年間市内を走っているケーブルカー。
世界中にも多くのファンがいます。
その魅力の一つは、車両です。坂道や街中を走るケーブルカーは見ずにはいられない惹きつけるパワーがあり、その姿を多くの人が写真に収めています。
そしてもう一つは、仕組みです。「グリップマン」というケーブルカーの運転手が手動で運転していて、タイムスリップしたかのような世界観を味わえます。
ケーブルカーの魅力は、まだまだあります。チリンチリン鳴る鐘の音、ステップにぴょんと乗って風を頬で感じる、坂の上から見下ろすサンフランシスコ湾、そのサンフランシスコ湾に向かって颯爽とまっすぐに下っていく開放感、可愛らしい色合いの家々を見ながら異国を感じるなど、ぜひサンフランシスコに来たら、ご自分でなぜこんなにもケーブルカーが人々から愛されているのかをぜひ体験してみる価値はありますよ。
とても魅力あふれるケーブルカーですが、どうやって走っているのか、その仕組みをご存知ですか?
なんと道の下にケーブルがひいてあり、そのケーブルを動かしているのは、サンフランシスコ市内にある「ケーブルカー博物館」の中の駆動装置です。
(ケーブルカー博物館を訪れたこの日は、整備士さんたちがケーブルの横で作業をしていました。サンフランシスコのケーブルカーは2017年から2019年にかけて、ギアボックスの修復作業をしているそうです。)
そしてケーブルカーの運転手「グリップマン」が、グリップを使って、ケーブルを放したり掴んだりしながら手動で動かしているのです。
(グリップマン)
(ケーブルカー博物館内のグリップの展示と説明)
グリップを自由自在に操るグリップマンが、ケーブルカーが動く鍵なのです。そして、ケーブルカーの運転はかなり難しいらしく、訓練コースを受けてもグリップマンになれる確率は約30%と言われています。
ケーブルカーに乗ったら、グリップマンにぜひ注目してみるのもおもしろいと思います。
ケーブルカーの歴史
次はケーブルカーの歴史です。サンフランシスコのケーブルカーは開業したのは1873年と、約150年前です。
1850年前後のゴールドラッシュから約二十年でケーブルカーが街中を走り、1890年代の最盛期には、なんと8つの会社の23路線がサンフランシスコを走っていたのです。(現在は3路線)
下の地図を見ると路線が東西南北と走っているのがわかります。
(ケーブルカー博物館の展示より)
今でも観光客を中心に大人気のケーブルカーですが、実は電気で走る電車が主流になってきた頃から徐々にケーブルカー存続の危機がやってきました。
理由は、電車を維持し運行する費用が、ケーブルカーに比べて断然安かったからです。
電車の登場の後、さらなるケーブルカーの危機が起こりました。それは1906年に起きたサンフランシスコ大地震です。
この地震では火事も起きてしまい、サンフランシスコの街の80%が崩壊したと言われている地震で、ケーブルカーもこの地震でかなりのダメージを受けました。
(1906年のサンフランシスコ大地震から半年後。ケーブルカー博物館の展示より)
電車の登場と地震で、徐々にケーブルカーの会社は減り、ケーブルカーの路線も減っていき、1947年には、当時のサンフランシスコ市長が「サンフランシスコからすべてのケーブルカーを廃止する」と宣言しました。
その宣言を受けて、ケーブルカーを愛する市民が集まり、サンフランシスコにおけるケーブルカーの価値は運用費用をはるかに上回ると主張し、ケーブルカーを存続させる運動を始めると、新聞や雑誌が取り上げアメリカ中が注目し、有名人たちも運動に参加しました。その後、圧倒的な投票数で勝利を収め、現在にいたります。
もしサンフランシスコ市民たちが、ケーブルカーを維持存続させようと運動しなかったら、現在のサンフランシスコにケーブルカーは存在しないのです。
サンフランシスコの街を走るケーブルカーの情景は、なんとも言えないくらい調和が取れていて美しいのです。その風景が今でも見られることはとてもラッキーなことかもしれません。
長年使用し続けたケーブルカーは1982年に修理をせざる得なくなり、約2年間ケーブルカーが休止になりました。システム修理している間に、車両のメンテナンスもし、1984年には新しいシステムと一新したケーブルカーがサンフランシスコの街を再び走り始めました。
今、再び修復作業が必要な時期がきて、実は2017年からケーブルカーは修理作業をしています。以前と違うのは、2年間休止になるということはなく、少しずつ修理をしているようです。
2019年5月2日から10日間ほど行っていた修理は終わりましたが、再び2019年秋に8日間ほど修理のためにケーブルカーが休止する予定だそうです。
詳しくは、サンフランシスコ市営交通局のホームページを確認するか、ロコに質問して聞いてみてくださいね。
サンフランシスコ市営交通局ケーブルカーのページ(英語)
ケーブルカーの料金
ケーブルカーの料金は、7ドルです。
※4歳以下は無料です。
その他にお得なパスがあります。
このパスは、ケーブルカーだけでなく、サンフランシスコ市営のミュニメトロ、ミュニバスも乗り放題のパスです。MuniMobileというアプリをダウンロードしたり、クリッパーカードという日本で言うとSuicaのような交通カードだとパスの料金が安くなります。
現金 | クリッパーカード | アプリ | 備考 | |
---|---|---|---|---|
片道 | 7ドル | 7ドル | 7ドル | |
1デイ・ビジター・パスポート | 23ドル | 12ドル(+カード代3ドル) | 12ドル | 一日乗り放題パス |
3デイ・ビジター・パスポート | 34ドル | 29ドル(+カード代3ドル) | 29ドル | 三日間乗り放題パス |
7デイ・ビジター・パスポート | 45ドル | 39ドル(+カード代3ドル) | 39ドル | 七日間乗り放題パス |
※スマホの方は横スライドできます。
その他にサンフランシスコ・シティパスというのがあり、観光クルーズや博物館や美術館に行くことを計画している人にとっては、とてもお得なパスです。
【サンフランシスコ・シティパス】
- 3日間乗り放題パス
- ゴールデンゲートブリッジの下を通り、アルカトラズ島の近くまで行くサンフランシスコ湾クルーズ
- カリフォルニア科学アカデミーという世界最大の自然史博物館のチケット
- アクアリウム・オブ・ザ・ベイ(水族館)のチケット -サンフランシスコ近代美術館のチケット
大人(12歳以上) 94ドル
子供(5歳から11歳) 74ドル
※4歳以下はそれぞれの施設の規定によります。
ケーブルカーの路線と乗り場
サンフランシスコのケーブルカーは現在3路線走っています。
ユニオンスクエア近くのパウエル駅からフィッシャーマンズワーフの港へ向けて2路線、カリフォルニアストリートに沿って1路線です。
(ケーブルカー博物館より)
パウエル~ハイド線 赤い路線
- 始発朝6時台から夜0時台まで走っています。 一番人気の路線で、ユニオンスクエア、くねくねの道で有名なロンバード・ストリート、そしてフィッシャーマンズワーフに向かって坂を下る時に見えるサンフランシスコ湾に浮かぶアルカトラズ島が見えたり、ゴールデンゲートブリッジも見え、終点はギラデリスクエア(ギラデリチョコレートの工場跡)です。サンフランシスコを堪能できる路線です。
パウエル~メイソン線 緑色の路線
- 始発朝6時台から夜1時台まで走っています。 パウエル~ハイド線と途中まで同じ道を走ります。終点のベイストリートから徒歩10分程度でピア39に行けます。
カリフォルニア線 青い路線
- 始発6時台から夜11時台まで走っています。 カリフォルニアストリートに沿って走るカリフォルニア線は、実はパウエル発着のケーブルカーよりも車両が大きく、ステップが前後にあり、乗車しやすいのです。またグレース大聖堂やクラシックで素敵な高級住宅街を走ります。
※サンフランシスコには、二種類のタイプの車両が走っているので、ぜひチェックしてみてくださいね。パウエル発着の2路線(写真左)ステップが一カ所で小さめで、カリフォルニア線(写真右)ステップが二か所で大きめの車両です。
ケーブルカーのチケットの買い方
ケーブルカーのチケットは、とても簡単です。
- 現金の場合、乗車する時に7ドルを運転手さんに支払います。(お釣りはないのできっちり7ドル準備しておいてくださいね。)
- クリッパーカードの場合は、乗務員さんが持っている機械にかざします。
パウエル駅から乗る場合は、チケットブースにて、チケットが買えます。(お釣りは出ます)
(パウエル駅のチケットブース)
(ケーブルカーのチケット)
チケットブースでは、ケーブルカーの片道チケットだけでなく、往復チケット(14ドル)や1デイ・パスポートやクリッパーカードも購入できます。
また、地図が無料貰えます。
(チケットブースで貰える二種類の地図、どちらも市内全体とユニオンスクエア周辺の拡大地図、フィッシャーマンズワーフの拡大地図がついています。右側の地図は更にサンフランシスコ周辺のベイエリア、ワインカントリー、モントレーなどの地図もついてます。)
ケーブルカーの乗り方
迷うことなく乗れるの方法は、チケットブース隣のパウエル駅の乗り場から乗る方法です。
ここに並んで待っていれば、ケーブルカーが乗ることができます。
しかし難点があります。ここは多くの観光客のケーブルカーを乗るために並んで待っている場所なので、かなり待つ時もあります。
行列に並ばずに乗る方法は、ケーブルカーの停留所から乗る方法です。
ケーブルカーの走る路線には、停留所があります。
(ケーブルカー停留所のサイン。右はカリフォルニア線、左はパウエル線だということが書いてあります。)
停留所で待っているとケーブルカーがきて、乗ることができます。
ケーブルカーで巡るおすすめ観光スポット
ケーブルカーは、観光名所を巡る時にもおすすめです。
ユニオン・スクエア
ユニオン・スクエアには、パウエル~ハイド線、パウエル~メイソン線が停まります。
ユニオン・スクエア周辺には、ファストファッションから高級ブランドのお店の多くが集まり、またレストランやカフェもいっぱいあります。
ユニオン・スクエアは明るく開放的な場所なので、コーヒーを買って一休みするのもいいかもしれません。
フィッシャーマンズワーフ
サンフランシスコと言えば、新鮮なシーフードを思い浮かべる人もいると思いますが、フィッシャーマンズワーフには、屋台で気軽に買うことのできるクラムチャウダーやお洒落なシーフードレストランなどいろいろと揃っていますし、お土産屋さんも豊富です。ピア39にも歩いているので楽しい時間が過ごせる場所です。
パウエル~ハイド線は終点から東に、パウエル~メイソン線では西に歩くとフィッシャーマンズワーフです。
チャイナタウン(中華街)
サンフランシスコの中華街は、アメリカ最古で最大と言われています。
中華街は日本にもありますが、サンフランシスコの中華街はまた違った雰囲気を持っているので、ぜひ訪れてみる価値はあります。中華料理も美味しいお店が幾つもあります。
中華街へは、すべての路線で行けます。
ケーブルカー博物館
1974年に設立されたケーブルカー博物館は、サンフランシスコのケーブルカーの歴史だけでなく、1870年代に街中を走っていたケーブルカー3台も展示してあったり、ケーブルやグリップ、ツールにブレーキまで展示してあり、電車好き、メカ好きにはたまらない博物館だと思いますが、そうじゃなくても、行く価値あります。実際にケーブルカーを動かしている駆動装置は圧巻ですし、昔のケーブルカー模型や可愛いケーブルカーのグッズも売っています。しかも無料です!
パウエル~ハイド線、パウエル~メイソン線ともにケーブルカー博物館に停まるので、ケーブルカーに乗るのが何倍も楽しくなるケーブルカー博物館に足を運んでみてくださいね。
(ケーブルカー博物館)
(ケーブルカー博物館の入り口)
(ケーブルカー博物館のギフトショップ。ケーブルカーの可愛いグッズも売ってます。)
(1870年代のケーブルカーの車両)
(昔使われていたトークンと昔のケーブルカーの模型)
ケーブルカーの乗車レポート! 感想レビュー
パウエル~メイソン線に乗ってフィッシャーマンズワーフへ
始発駅ではケーブルカーをUターンさせるのに木の回転台に車両を乗せおじさんが手動で回転させている昔ながらの光景を見るのも楽しく、また木でできたレトロな車両は私が子どもの頃乗っていた広島の路面電車を思い出させてくれる懐かしさもありました。
車両は内側の席と外向きに座れる外側の席があり、せっかくなのでサンフランシスコの街並みが楽しめて風が直接感じられる外の席に座りました。外側の席に立って乗っている方もいます。
ダウンタウンの賑やかな通りから、サンフランシスコらしい色とりどりの住宅街、急な坂道、下り坂の向こうに見える海とか一度に沢山の景色が楽しめました。
フィッシャーマンズワーフに着いて、Boudin Bakery Cafeでクラムチャウダーを食べ、その後ピア39でショッピングをしました。
港町サンフランシスコのケーブルカーに乗って
海に囲まれた島国の日本には港町が多くあります。地元が横浜の私は函館や長崎などで、あ、横浜に似ていると度々思ったものです。
そしてそれが海外でも感じる感覚だとは。サンフランシスコも坂が多く歴史ある建物と新しいビルが共存しながらもしっくりとした街並みを作り、観光客と地元民どちらもが居心地よく過ごせる場所でした。
急な傾斜の坂道を趣きあるケーブルカーで登って下ると、そこは映画やドラマ、テーマパークのモチーフなどで数多く見かけてきたフィッシャーマンズワーフ。
可愛らしいレトロなケーブルカーに乗って大きな傾斜や急カーブに吊革を握って歓声をあげながらはしゃぐ観光客と平然としている地元の人。
ノスタルジックな郷愁とワクワクする興奮を盛り上げてくれるケーブルカーは流行りの映え写真にもピッタリ。
サンフランシスコに行ったら是非体験したい乗り物です。
憧れのケーブルカーに乗ってみたら
パウエル駅から乗ろうと思ったら、ものすごい人が並んでいたので、途中から乗ることにしました。7ドル現金を用意して、ケーブルカーの停留所で待つこと10分。ケーブルカーがどんどん近づいて来るとワクワクが止まらなくなりました。
運転手さんらしき人に7ドル手渡し、中に入るとものすごい人で、東京の朝のラッシュの電車のようでしたが、途中でくねくねのロンバード・ストリートがちらっと見えたり、坂の上からゴールデンゲートブリッジが見え大興奮!
チリンチリンと鐘を鳴らし、ガタゴト揺れながら走るケーブルカーはどこか懐かしく、ノスタルジックな気分になりました。乗ったのはパウエル~ハイド線です。
乗る前に知っておくと便利なQ&A
Q:時刻表はあるの?
はい、あります。ホームページで確認できます。
Q:クリッパーカードとは?
日本のSuicaやPASMOのような交通カードです。
カード代3ドルで、チャージして使用します。ケーブルカーのほかにミュニメトロ、路面電車、ミュニバス、バート、カルトレインなど、サンフランシスコの交通機関で利用できる便利なカードです。
サンフランシスコ国際空港のインフォメーションカウンターや今回ご紹介したパウエル駅のチケットブース、ミュニメトロの自動販売機などで購入ができます。
Q:MuniMobileとは?
サンフランシスコ市営交通局のアプリで、スマートフォンにダウンロードして使用します。
ケーブルカーのほかにミュニメトロ(路面電車も含む)、ミュニバスにキャッシュレスで乗れる便利なアプリです。片道チケットのほか、往復チケットや1デイ・パスなども購入できます。
MuniMobileのダウンロード
Q:ケーブルカーのことをもっと知りたい
ケーブルカーのことなら、無料のケーブルカー博物館へ訪れることをおすすめします。
ケーブルカー博物館 http://www.cablecarmuseum.org/index.html
まとめ
いかがでしたか?サンフランシスコのケーブルカーの魅力をお伝えいたしました。ケーブルカーを愛するサンフランシスコ市民に守られ、約150年前から続くケーブルカーが今も街中を走る姿は、過去と現在が交差するような不思議な感覚で、決して忘れることはないでしょう。ぜひサンフランシスコを訪れたら、ケーブルカーに乗ってみてくださいね。何か質問があれば、ぜひロコを頼ってみてくださいね。