スイスへ行くのは観光ですか?商用ですか?それとも他の目的でしょうか。査証などは必要なのでしょうか。スイスは自然に溢れた国ではありますが、結構複雑なシステムが存在しています。ここではそれぞれの目的に合わせた許可証の種類や滞在許可証取得の方法などを少し覗いてみましょう。

スイスの様々な滞在許可証の種類

滞在許可証の必要ない場合

スイス への入国には、入国予定日から3ヶ月以上の残存期間があり10年以内に発行された旅券が必要となります。基本的には査証(ビザ)は要りません。滞在許可証の必要ないものを「短期在在許可-Permit L」と呼びます。条件は下記のようになります。

1.90日以内の観光、業務(商談・会議・視察)、外交や公用目的
2. 入国時に往復航空券または第3国行きへの航空券を所持している。

査証免除で出入国をなんども繰り返す場合は、180日期間内で、最大90日を超えない期間であればスイスでの滞在が可能となります。

滞在許可証が必要な場合

EU,EFTA非加盟国民の私たち日本人にとって、滞在許可は大きく6種類に分かれ、それぞれの条件や滞在期間が異なります。スイスには26の自治州があります。滞在許可の種類はそれぞれの州(カントン)毎に滞在許可付与の権限があるために、スイス 全体の統一した仕組みがわかりにくいのです。しかも、滞在許可証が取得できた後に、違う州に引っ越しをした場合、また申請のし直しということもあり得ます。
ただ、共通の手続きとしては、日本出発前にスイスでの受け入れ先を通して、滞在する居住地の州当局に滞在許可確約書(または入国発行確約書)を申請することを要請されます。6種類の滞在許可証は滞在目的によって分けられます。

6種類の目的

1 .就労目的 
2 .就学目的 
3..職業訓練-ヤング・プロフェッショナルズ
スイスでの企業研修目的。最長で18ヶ月限定の労働許可証。条件は35才未満。

詳細:在スイス日本国大使館State Secretariat for Migration(移民のための州事務局サイト) 

4.オペア・プログラム利用
スイスのSECOからの認定を受けた紹介代理店との契約が必要。基本は18歳から25歳。
EU,EFTA加盟国の国籍保持者が優先。

5.家族の呼び寄せ
スイスに在住する人の元へ呼び寄せる家族(Familiennachzug)の申請や、結婚の準備の為  の入国許可証の申請は可能。申請に必要な書類や手続きの詳細は問い合わせとなります。
外国籍保有者にとって、手続きやプロセスは決して簡単ではなく、州によって申請方法が異なる為、詳しい情報は スイス大使館に問い合わせるのが良いでしょう。

詳細:Departement Volkswirtschaft und Inneres

6.公務、または国際機関での勤務
スイスにある勤務先期間が本人に代わり身分証明書(レジティメーションカード)の発行をしてくれます。詳しくは」Permit Ciと言われ、本人及び同伴家族も対象となります。(子供は25歳以下)

スイスで働く!スイスで学ぶ!

今回は6つの目的のうち2つの「就労・就学目的」の場合のビザにフォーカスして解説します。

労働許可証

スイスの就労先企業からの許可が貰えても、確認しなくてはならないことがあります。
まず労働許可証の取得は、申請者の出身国や、外国人の雇用制限状況などによって異なります。EU・EFTA加盟国以外の外国人(日本を含む)の取得条件はかなり厳しく、管理職や専門職、または大学の学位・職務の高いスキルが要求されます。手続きには通常3週間程度ですが、場合によっては数ヶ月かかることもあります。

労働許可証の種類は下記のように3種類ほどあります。

許可証 L: 短期滞在許可証 
スイスでの就業期間が一年以下の外国人に発給。雇用者が同じであれば、例外的に24ヶ月まで延長は可能である。基礎教育やトレーニングの人にはこの許可証が発給されます。

許可証 B:初期滞在許可証
初回の有効期間は原則として一年未満となり、一年ごとに更新されることになリます。許可を発給した州のみで労働が可能です。

許可証 C:定住許可証

10年間継続してスイスに滞在すると申請できる許可証。これを保持すれば、異なる州でも自由に就業できます。税金は源泉徴収ではなくなることが特徴。
申請の問い合わせや必要書類は州によって異なります。
State Secretariat for Migration(移民のための州事務局サイト)

許可取得後は、家族も国籍に関係なくスイスに滞在・居住できます。家族と見なされるのは、配偶者、21歳未満の子供、もしくは年齢を問わず保護・監督の必要性が認められている子供となります。許可証の発給は州当局の管轄です。詳しいことは、連邦司法警察移民局のサイトをご覧ください。
連絡先やパンフレットは下記のサイトで見ることができます。
連邦司法警察移民局サイト

就学許可証

日本国籍の学生がスイスの教育機関に留学をするときは、90日以内の滞在であれば査証や滞在許可証は必要ありませんが、90日を超える場合は、滞在許可証が必要となります。スイスに
入国前に、居住地のある州に発行してもらう申請をしなくてはいけません。詳細は、留学先の教育機関に聞くか、在日スイス大使館に確認してください。
3ヶ月以上の語学留学をされる方は、入国前に学生査証の取得が必要となります。申請から発給までは数ヶ月かかりますので、早めの申請をお勧めします。通常、正規留学されるお子様の学生ビザは、日本の留学機関、または親御様が申請フォームを記入し、学校が手配します。ビザの申請か発行には8-12週間がかかります。8月末〜9月上旬に留学がスタートする場合、普通は10月の秋休み前に滞在許可証が発行されますので、入手後はスイス出入国の時に、パスポートと一緒に提示いただければ、スムーズに出入国ができます。

大使館への提出書類(英文または、フランス語かドイツ語で)
1.パスポート/ 2.申請書3通と写真3枚/ 3.英文にての預金残高証明書/ 4.学校の入学許可書/
5.スイス留学の目的を書いた手紙/ 
就学ビザは、どの州に居住するかや、どんな種類のことを学ぶかによっても異なります。
ここでは、スイスの大学に入学する方が揃えた書類を例としてご紹介します。

ある大学生の例
1. カバーレター(添え状)
2. 申請用紙(移民局へ問い合わせ必要)
3. パスポートのコピー
4. 証明写真3枚
5. 大学の入学許可証
6. 履歴書と言語能力証明書
7. 大学卒業証明書
8. 将来どうしたいかの作文(必ず日本に帰ることを記載する)
9. 留学が終わり次第すぐに日本へ帰国するという宣誓書
10. 残高証明書(最低CHF21、000/ 日本円で約240万円)

その他注意事項
お子様のスイス留学の時期に親御さんもスイス移住を希望される方がおられても、お子様にのみ滞在許可証が発行されるため、親御さんの90日を超える滞在はできません。また、大人の留学には年齢制限があります。

ビザ取得のための詳しい連絡先

在日スイス大使館

住所:〒106-8589 東京都港区南麻布5-9-12
TEL: +81(0)3-5449-8440
営業時間:月〜金曜日 09:00〜12:00 
定休日:土日は休館
在日スイス大使館ホームページ

スイス連邦司法警察省・移民局

住所:Quelleenweg 6, CH-3003 Bern-Wabern, Switzerland
TEL: +41(0)31-325-1111
スイス連邦司法警察省・移民局

在スイス日本国大使館

住所:Engestrasse 53, CH-3012 Bern, Switzerland
TEL: +41(0)31-300-2222
在スイス日本国大使館

カントン(州)と自治体のリスト

State Secretariat for Migration/自治体リスト

まとめ 

スイスは滞在90日以内であれば、査証も滞在許可証も必要ありませんが、州によってシステムが違うため、滞在が90日を超えると申請方法が統一されていない分、少し面倒くさいですね。
しかし、受け入れ先がしっかりしていることは勿論ですが、要は経済的に揺るがない状態であることと、任務や滞在目的が達成すればすぐに日本へ戻ることを証明できれば、複雑な書類の準備を除けばそれほど難しいことではありません。ただ、滞在許可証は旅行会社に発行してもらうことができないため、少しでも早い時期に申請を開始することがとても大切です。