インドで生活を始めると様々なトラブルが起こり得ますが、なかでも最も困るのは病気や怪我への対応です。インドは非常に国土が広く、地域により気候も大きく異なります。北インド(デリー、グルガオン)エリアにおいては、5月から6月にかけて連日40度を超える暑さとなる一方で、12月から2月には5度前後まで気温が下がり、寒暖の差も激しいです。また、都心部での大気汚染の問題も深刻さを増してきております。
このように厳しい生活環境ではありますが、インドにおいても最新の医療を提供できる病院が存在します。まずは、ご自身の生活圏内で、大きな総合病院を中心に情報収集することをお勧めします。

インドの医療レベルについて

世界的にも権威ある医学雑誌のLancet(ランセット)において、医療の質やアクセスの容易さを世界195か国でランキングしたデータがあります。

Measuring performance on the Healthcare Access and Quality Index for 195 countries and territories and selected subnational locations: a systematic analysis from the Global Burden of Disease Study 2016

出典:THE LANCET

この論文によると、インドのHAQ(医療の質とアクセスの容易さ)指数は41.2ポイントで、世界195か国中145位となっております。2016年のHAQ指数で上位5カ国は、アイスランド(1位、97.1ポイント)、ノルウェー(2位、96.6ポイント)、オランダ(3位、96.1ポイント)、ルクセンブルク(4位、96.0ポイント)、そしてフィンランドとオーストラリア(5位、それぞれ95.9ポイント)と続きます。ちなみに、日本は12位でHAQ指数は94ポイントでした。インドにおいては、1990年の153位からランキングを上げており、HAQ指数も1990年と比較すると16.5ポイントの改善を果たしているものの、世界平均の54.4ポイントを大きく下回っているのが現状です。

一方で、インドの都市部には最新の医療機器や清潔な設備を整えた私立総合病院も存在します。
こういった私立病院においては、先進国と比べても遜色ない医療サービスを提供すると言われており、そのコストパフォーマンスの高さから、海外から医療観光目的でインドに訪れる人も多数存在します。

インドは世界の医療観光市場の18%近くのマーケットシェアを有していると言われており、2020年には20%に達するという予測もあります。

出典:Medical Tourism in India is Getting Better and Bigger

インドで罹患しやすい病気

インドは感染症の宝庫と呼ばれており、特に蚊が媒介するデング熱や、食べ物や飲み物から経口感染する消化器感染症には注意が必要です。

1、食中毒・下痢

大腸菌などによる細菌性胃腸炎が一般的に多く見られます。インドにおいては、日本と比べ衛生環境が悪く、外で食事をする際に不衛生な水や食べ物を摂取した際に起こり得ます。開栓されていないミネラルウォーターを購入し、水道水は飲まないことをお勧めします。また、フルーツジュースや生野菜は避ける方が望ましいです。

2、デング熱

主に蚊を媒介として感染するデングウイルスによる感染症です。インド北部においては、雨季後の9月から11月にかけて蚊が大量に発生し、罹患する人も少なくありません。
 
感染してからの潜伏期間は3日から1週間程度あると言われており、突然インフルエンザにも似た高熱や頭痛、関節痛の症状が出ます。風邪の症状に似ている為、自身で判別することが難しいのですが、高熱が続き発疹等も認められる場合は、近隣の医療機関をすぐに受診することをお勧めします。

3、狂犬病

インドは宗教上の理由で殺生を好まないこともあり、野良犬が至る所にいます。狂犬病は発症後の致死率がほぼ100%と言われており、野良犬には近づかないに越したことはありません。
心配な方は、予防接種を事前に受けておくことをお勧めします。

その他、詳しいインドの医療情報については、外務省のHPに詳しくまとまっておりますので、以下をご参照ください。

出典:外務省・世界の医療事情

外国人向けの総合病院

 
ここでは、ニューデリー近郊で外国人が多く利用する総合病院について紹介します。
残念ながら日本語で対応してくる病院は現在(2019年3月)はありません。

1、Max Super Speciality Hospital

 病床数は500床以上で、心臓、腫瘍学(医学、外科および放射線療法)、神経科学、産科および婦人科、代謝および肥満外科、骨髄移植、泌尿器科、腎臓学、腎臓移植等の高度な医療サービスを提供可能な施設です。近くに大きなショッピングモールもあります。

HP
●住所 : 1 & 2, Press Enclave Marg Saket District Centre, Saket Institutional Area, Saket, New Delhi, Delhi 110017
●電話 : +91 11 2651 5050

2、Fortis Flt. Lt. Rajan Dhall Hospital, Vasant Kunj

 ニューデリーのVasant Kunjにある162床の中規模総合病院です。日本人学校から近くに位置し、生徒・児童も利用しています。

HP
●住所 : Aruna Asaf Ali Marg, Pocket 1, Sector B, Vasant Kunj, New Delhi, Delhi 110070
●電話 : 011 4277 6222

3、Indraprastha Apollo Hospital

 インド最大のApolloグループ系列の大規模病院で日本人含め、多数の外国人が利用してます。

●HP
●住所 : Chennai - Delhi Highway, Mathura Rd, Sarita Vihar, New Delhi, Delhi 110076
●電話 : 1860 500 1066

まとめ

インドの総合病院は24時間対応してくれるところが多く、近年は医療観光で訪れる外国人も増えてきており、外国人対応窓口も設置され始めております。生活環境の厳しいインドにおいては、いざと言うときに備えて、近隣の病院をあらかじめ確認しておくことも重要だと思います。