ルネサンスが誕生した華の都フィレンツェ。フィレンツェは、外国人旅行者や日本人在住者が比較的多い市でもあります。しかし、フィレンツェ市内の医療機関はどうなっているのでしょうか。海外滞在中、急に具合が悪くなってしまったらどうしていいかやはり不安ですよね。イタリアの医療システムは日本のと比べると若干異なる所も多々あります。また、フィレンツェは世界最古の薬局と言われる老舗のサンタマリアノヴェッラ薬局が現在でも存在しています。

イタリアの医療システムについて

イタリアの医療水準は日本および他の西欧先進諸国とほぼ同様。貧困層でも無理なく医療サービスが受けられるよう、基本的には「医療費が無料」の国でもあります。しかし、細かく分けるとイタリアの医療システムは、国民保険サービスによる保険医療と非保険診療である自由診療に分けられています。

国民保険サービス

イタリアで生活する住民は誰でも国民保険サービスに加入することができます。「Tessera Sanitaria(テッセラ・サニタリア)」と呼ばれる保険証があれば、日本人でも無料の公的保健医療サービスを受けることが可能です。日本ではあまりなじみがありませんが、かかりつけ医(ホームドクター)を最寄りの地域保健所「ASL (Azienda Sanitaria Locale)」にて登録し、イタリアの医療機関を受けたい方は、まず個人のホームドクターに行き診察してもらいます。ホームドクターの手に負えない場合や、検査などが必要な場合は、ホームドクターが紹介する公立病院か私立病院にある専門医に回されます。その際、公立病院でも若干の費用が発生することがあるのでご注意ください。

非保険診療

イタリアの保険証をお持ちでない方や日本の海外旅行保険に加入していない方は、非保険診療の自由診療を受けることになります。自由診療とは一般的にプライベートの医者から受ける診療で、患者が全額自己負担しなければなりません。

救急病院「Pronto Soccorso(プロント・ソッコルソ)」

また、イタリアでは万が一緊急の場合は日本と同様に救急車を呼ぶことができます。その際に運ばれる救急病院「Pronto Soccorso(プロント・ソッコルソ)」では、レントゲンや他の検査の救急に必要な設備が整っています。
イタリアで救急車を呼びたいときの電話番号は「118」です。

薬局に直接行く

イタリアの医療制度は、待ち時間が特に長いので「Farmacia(ファルマチア)」と呼ばれる緑の十字架が目印の薬局に直接出向いて薬を購入することができます。イタリアの薬局は、どこも薬剤師との直接対面販売制を取っているので、医者の代わりに最寄りの薬局の薬剤師と話してなにが必要なのかを訪ねてみる手も無難です。

また、イタリアには「Erboristeria(エルボリステリア)」と呼ばれる、修道院などで受け継がれた天然素材を用いたレシピで作られた薬を取り扱うハーブ薬局が存在します。中国の漢方薬局のようなものです。

注意点

イタリアの医療システムの注意点は、待ち時間がとにかく長いと言うことです。捻挫や軽い怪我などの軽傷であれば、救急病院でも半日以上待たされることがあるのでご注意ください。ホームドクターに通う場合もまずは電話予約をし、受付番号をもらって並ぶ必要があります。ホームドクターは1人につき約1500人以上の患者が登録されているので、予約した時間通りに診察してもらえるとはまず思わない方が良いでしょう。その後、手術や検査の予約が必要な場合でも、緊急な場合でない限りは約3ヶ月から1年先まで待たされることがあります。全額自己負担の私立病院や、プライベートクリニックではそのような意味でわりと早めの診療が可能です。

フィレンツェの「総合病院」について

フィレンツェの「総合病院」についてご紹介します。イタリアでは、旅行者や時間に制限のある患者に限って、直接総合病院の救急外来へ出向いての受診も可能です。総合病院も公立総合病院と私立総合病院に分かれており、公立総合病院の方はやはり待ち時間を覚悟して訪れて下さい。

フィレンツェの公立総合病院リスト

内科、外科、歯科、眼科、小児科、産婦人科等の診療は、これらの総合病院にお立ち寄りください。受診の際パスポートなどの身分証明書が必ず必要です。

Ospedale Santa Maria Nuova

観光地である市内に位置するアクセスしやすい公立総合病院です。13世紀後期に作られた、フィレンツェ最古の病院でもあります。一般救急病院。眼科の診療は不可です。

  • 住所:Piazza di Santa Maria Nuova, 1 50122 Firenze
  • 電話番号:+39 055 69381
  • 診療時間:診療科により異なるが、緊急時は24時間対応可能

Azienda Ospedaliero- Universitaria Careggi

フィレンツェ市の北に位置する、フィレンツェ最大規模の設備が整った大学病院です。必要であれば同病院内の眼科や歯科等の振り分けも可能。

  • 住所:Largo Brambilla, 3 50134 Firenze
  • 電話番号:+39 055 794111
  • 診療時間:月~金曜 08:30~14:30、緊急時は24時間対応可能

Nuovo Ospedale S.Giovanni di Dio

フィレンツェ市の西に位置する、一般救急病院。産婦人科等の診療も可能。

  • 住所:Via Torregalli, 3 50143 Firenze
  • 電話番号:+39 055 693 1111
  • 診療時間: 緊急時は24時間対応可能

まとめ

イタリアの基本的な医療システムは、ホームドクターや待ち時間の異常な長さなど、日本のシステムとは若干異なります。また、フィレンツェは観光地だからと言っても、医療機関では英語が通用しない場合もあるので注意が必要です。イタリアの医療サービスは、イタリアの国民保険サービスに加入している方、または日本の海外旅行保険に加入されている方に限って「医療費がほぼ無料」です。イタリアの薬局も、医師の診断なしでも大抵の薬は処方できるようになっているので便利です。