『写ルンです』でドイツ・ベルリンを撮ってみた

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※本記事は特集『海外を写ルンですで撮ってみた』、ドイツ・ベルリンからお送りします。

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『写ルンです』は一眼レフより難しい?

私、バリバリ現役世代なんですよ、『写ルンです』全盛期の。レンズ付きフィルムという、それまでにないまったく新しい発想の『写ルンです』が発売されたとき、私は大学に入りたて。手軽に使えるので、サークルのお出かけでは必ず誰かが持参していたものでした。

なのに私は、2018年になった今のいままで、たったの一度も使ったことがなかったんです! カメラを持っていたので、出番がなかったんですね。この商品が発売されてから30余年。このたびようやく使う機会が巡ってきました。

日本の使者から『写ルンです』を入手。

ドイツのポケットティッシュと大きさがほぼ同じ。

しかし使ってみると、いやーこれが難しい。『写ルンです』についているレンズは32mm、F10で、シャッタースピードが1/140秒と固定されています。ピントが合うのは、自分から1m以上離れているもの。この条件は昼間の風景などを撮るにはバッチリなんですが、屋内は付属しているストロボが必須で、近くのものはピンボケになってしまいます。

でも途中からそんなことを考えるのは一切止めて、「写真は味だ、味!」と、撮影条件を無視して撮ってきましたよ。その結果、一時帰国中に現像に出したラボからは「極端な露光不足」写真が多々あると言われましたが……。いいんですよ、写真は味! ではその「味わい写真」をご覧に入れましょう。

『写ルンです』で、普通の街角を撮ってみました。アンティークショップです。

東ベルリンのプレンツラウアー・ベルク地区は特に子どもが多く、子どもたちと遊ぶパパやママでにぎやかです。

街灯や塀に次々と重ねて貼られた広告のポスターは、あまりの厚みにそれ自体が塀のようになっています。これもベルリン名物と言えましょう。

すごいです。撮るだけで70年代の雰囲気です。『写ルンです』で、東西ドイツ分断時代にタイムスリップしたかのようです。

 

路線バスで行くベルリン王道観光を『写ルンです』で撮ってみた

面白いので『写ルンです』で観光名所を撮ってみましょう。それにはベルリン東西を観光名所を回りながら結んでいる100番バスが便利です。誰でも利用する公共交通の路線バスなので、普通の切符で乗れる上に、2階建て構造だからいつもの移動でも気分は観光。初めてベルリンにいらっしゃる方におすすめです。

西側のZoologischer Garten(ツォーロギッシャー・ガルテン)駅前と東側のAlexanderplatz / Memhardstr.(アレクサンダープラッツ・メムハルトシュトラーセ)停留所のどちらからスタートしても構いませんが、今回は東側から西側へと横断したいと思います。

それではこれから「久保田と回るベルリンヴァーチャルツアー」へとご案内いたします〜(ガイド口調で読んでください)。皆さま、本日はようこそいらっしゃいました〜。100番バスへご案内する前に、まずはアレクサンダー広場にまいりましょう。

上部に球形の展望台とレストランがあるテレビ塔。広場の真ん中をトラム(路面電車)が突っ切っております。

皆さま、こちらがアレクサンダー広場でございます。ここからは東ドイツ時代に建てられたテレビ塔や、映画『グッバイ・レーニン』に登場する世界時計などが見られます。60年代後半の建設ですが、『写ルンです』で撮ると東ドイツ時代の写真のようではないですか?

ソーセージ売り、お値段は2018年3月現在1本1.70ユーロ(2018年3月27日現在約223円)。

広場に器具を持って立っているのは、焼きソーセージ売りの方々です。プラスチックカバーの内側は体に固定したグリルプレートで、生のソーセージをその場で焼き、アツアツをパンに挟んで売っています。なお、車椅子に座って同様のグリルプレートで焼いている方もいらっしゃいます。

こちらが100番バスです。

それでは100番バスへとご案内いたします。アレクサンダー広場を横切り、Memhardstr.(メムハルト通り)に面したバス停へとまいりましょう。車体の電光掲示板に「100」と出ていることをご確認ください。ご乗車の際は前扉から、運転手に切符を見せてのご乗車をお願いいたします。切符は1回券でしたら2.8ユーロ(2018年3月27日現在約367円)ですが、1日3回以上公共交通を利用するのでしたら、お得な7ユーロ(約917円)の1日券もございます。なお、切符をまだお持ちでない方は、運転手から購入することも可能です。お乗りになりましたら、2階席へとお進みくださいませ。

おすすめは、やはり2階列最前列のお席。

Alexanderplatz / Memhardstr.(アレクサンダープラッツ・メムハルトシュトラーセ)停留所から4分ほどで、進行方向右手にベルリン大聖堂が現れます。最寄りの停留所はLustgarten(ルストガルテン)です。

皆さま、右手に見えますのがベルリン大聖堂でございます。ルター派、つまりプロテスタントの教会で、内部は有料ですが見学可能です。背後は、世界遺産となっている博物館島と呼ばれるムゼウムスインゼルです。左手には再建中のベルリン王宮をご覧になれます。

バスはそのまま東ベルリンの目抜き通りウンター・デン・リンデンをひた走り、ブランデンブルク門手前で右折し、連邦議会議事堂の脇を通り、西側へと進みます。

ここで映画『ベルリン・天使の詩』に登場した戦勝記念塔が登場です。

戦勝記念塔の回りはティアガルテンという広大な公園、ただし冬のため少し寂し気な雰囲気です。

さて、前方に戦勝記念塔(ジーゲスゾイレ)が見えてまいりました。こちらの交差点はラウンドアバウトになっておりまして、真ん中に立っている塔の内部は見学可能で、勝利の女神像の真下まで階段を上って行かれます。停留所Großer Stern(グローサー・シュテーン)で下車し、地下通路を渡りますと塔入り口までたどり着けます。バスは戦勝記念塔の周りをぐるりと半周いたします。

戦争で破壊されたままのカイザー・ヴィルヘルム記念教会。礼拝はブルーのステンドグラスが美しい、右隣にある八角形の新礼拝堂で行われます。

皆さま、30分弱のバスの旅、大変お疲れさまでした。間もなく終点Zoologischer Gartenの停留所に到着です。目の前に見えますのが、カイザー・ヴィルヘルム記念教会です。第二次世界大戦の記憶を留めるために、被害を受けたままの姿でございます。お隣の新礼拝堂とともに、内部も見学いただけます。

Zoologischer Garten駅のターミナルに到着です。

目の前の駅はZoologischer Garten駅です。駅前のバスターミナルの一角にあるカレーソーセージの名店Curry 36(カリー・ゼクスウントドライスィヒ)へと、皆さまをご案内いたします。

ソーセージは皮あり・皮なしの2種類からお選びいただけます。

カレーソーセージ。皮なしタイプです。ピンボケです。

たっぷりの油で焼いたソーセージに、ケチャップソースとカレー粉をかけたカレーソーセージはベルリンの名物です。Curry 36はクロイツベルク地区に本店がございますが、便利なZoologischer Garten駅前に支店ができたことで、観光にも利用しやすくなりました。

 

壁の跡も、築100年以上のアパートも、みんなベルリンの日常風景

100番バスの旅はこちらで終了ですが、「ベルリンヴァーチャルツアー」としてはベルリンの壁の跡に行かないわけにはまいりません。壁の状態が最もよくわかるのは、ベルリンの壁資料センターとその周囲にある屋外展示です。

ベルリンの壁資料センターの屋上から。ベルリンの壁の構造がわかります。

信号機の3頭身のキャラクターは、東ドイツ時代に生まれた「アンペルマン」です。愛らしい姿から、東西ドイツ統一後には西ベルリン地域にも広まっています。

壁資料センターは無料で入場いただけます。ベルリンの歴史には欠かすことのできない壁をどうかご覧ください。

住まいの多くは、築100年以上のアパートです。

市内は集合住宅が普通で、「アルトバウ」と呼ばれるご覧のような築100年以上の建物も一般的です。

あちこちの広場に立つ市場です。

市場のパンやハムを、ホテルでいただくのもおすすめです。

わかりにくいですが、市場の屋台でワインを飲んでいらっしゃる方々です。

ベルリンの日常を感じていただくなら、広場で開かれる市場もおすすめです。週2日(水曜、木曜と土曜など)ほど、朝から夕方まで開かれ、食品や雑貨をお求めになれます。その場でワインや軽食もお楽しみください。

なおベルリンでは、日曜日は一部の飲食店を除いてお店はお休みですので、ショッピングは月曜から土曜までの間にお楽しみください。日曜は、市場とは別の場所で蚤の市が開かれているので、行かれてみてください。

日曜日のみ開催の、マウアーパーク(壁公園)の蚤の市です。

19世紀後半に建てられたビール醸造所「クルトゥアブラウエライ」は、現在オフィスや映画館などの複合センターとなっています。

名物も召し上がりましたし、観光名所も日常の風景もご覧いただいたので、このあたりで「久保田と回るベルリンヴァーチャルツアー」を解散したいと思います。皆さま、ベルリンをお楽しみいただけましたでしょうか。本日はありがとうございました。

 

 

編集:ネルソン水嶋

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この記事を書いた人

久保田 由希

久保田 由希

東京都出身。ただ単に住んでみたいと2002年にドイツ・ベルリンにやって来て、あまりの住み心地のよさにそのまま在住。「しあわせの形は人それぞれ=しあわせ自分軸」をキーワードに、自分にとってのしあわせを追求しているところ。散歩をしながらスナップ写真を撮ることと、ビールが大好き。著書に『ベルリンの大人の部屋』(辰巳出版)、『歩いてまわる小さなベルリン』(大和書房)、『きらめくドイツ クリスマスマーケットの旅』(マイナビ出版)ほか多数。HPTwitterFacebookInstagram

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