最先端かガラパゴスか?日本と世界のゲイ娯楽(世界のLGBT:後編)
世界 × 世界カルチャーサミット 社会
※本記事は特集『海外のLGBT事情』の企画記事です。
https://traveloco.jp/kaigaizine/lgbt-in-world
ゲイ娯楽をリードするのは北米とヨーロッパ
世界各地の「LGBT娯楽」、実質的には「ゲイ娯楽」を紹介する前後編。前編では、「ゲイの娯楽文化にその国が持つイメージが象徴されているのでは」という気付きをもとに、世界各地のゲイの娯楽文化を3つに分類して紹介しました(なお、この記事では、ゲイの娯楽文化を総称して「ゲイ娯楽」と呼んでいます)。
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そして後編では、それらゲイ娯楽における世界的なムーブメントや流行り、またリードする地域について紹介します。そうして見えてくる、「ゲイ娯楽における最先端とは何か」という考えについても書いています。
アメリカの音楽は世界中で流れ、一方で日本のアニメや漫画までもが認知されるようにもなり、先進国の文化が世界に広がっている昨今ですが、これに似た現象がゲイ娯楽にも発生しています。文化全体で見ればあくまでもマニアックなマイナー文化ではありますが、というかそういったコミュニティでさえも、北米とヨーロッパに集中します。
目次
マイナー文化の最大勢力「クマ専ゲイ」のムーブメント
クマ専ゲイ(Gay Bear)を簡単に説明すると、「体の大きな男性を好むゲイ男性」のことを指します。 様々あるゲイのコミュニティ/カテゴリーの一部ですが、ゲイ男性の間ではどこの国でもほぼ必ず存在するコミュニティです。それでは、マイナーコミュニティーの祭典が世界で最も盛り上がる地域を紹介していきましょう。
田舎町にゲイ男性が押し寄せるベアウィーク/アメリカ
「ベアウィーク」は1週間ほど続く熊専ゲイ向けのイベントです。アメリカ・マサチューセッツ州のプロビンスタウンという田舎町で毎年7月の暑い季節に開催される「プロビンスタウンベアウィーク(Provincetown Bear Week)」は、ベアウィークとして世界で最も有名。町全体が会場になり、規模が”一部の”のイベントに留まらないのが特徴です。2001年に約250人の規模からはじまったとされ、今では8000人以上が参加するほどにまで大きくなっています。
余談ですが、前編に登場した、総人口に対するLGBTカップルの比率は全米2位のゲイタウン・ウィルトンマナーを上回る唯一の町、つまり全米1位がこのプロビンスタウンです。
アングラなイベントとはいえ隔離された様子は一切なく、観光しに来ているゲイ男性と、無関係の家族連れがいたりする場合もあります。夜になると地元のピザ屋はゲイのクラブ帰りの客でごった返し、こういった光景自体もイベントの名物になっています。
プロビンスタウンのベアウィークはアメリカ国内の旅行者が圧倒的に多い印象ですが、国外からの旅行者にも出会います。ヨーロッパではスペインのシッチェス(Sitges)で開催される「シッチェスベアウィーク(Sitges Bears Week)」が有名で、北米のプロビンスタウンと並び、世界の2大ゲイベアーウィークとして認知されています。とにかくマイナーイベントのはずなのにマイナーとは思えない規模なのが特徴です。
そのため、熊専ゲイのコミュニティーの中では「アメリカとスペインがアツい」という印象があります。
ゲイ専用旅行ツアー、ベアークルーズ/ヨーロッパ
熊系ゲイのためだけのヨーロッパの旅客船ゲイツアーで、『Cruise 4 Bears』の名で知られています。発起人はスペイン人のゲイカップルで、前述のシッチェスベアウィークのシーズンに合わせた旅程が組まれており、スペインから船が出港して各地を巡ります。それ以外の地域でもツアーを観光しており、写真はクロアチアツアーの様子。ツアーはコミュニティとしての機能も果たしており、リピーターが多いです。
参加者は北米&ヨーロッパ在住の方がほとんどですが、それゆえに在住国・出身国・国籍・使用言語が一致しない場合が多いです。ドイツ在住オランダ人がスペイン語で話していたりするので、「Where are you from?(どこから来た?)」で答えが得られない場合も多く、質問も「Where are you ORIGINALLY from?(どこ出身?)」のようになります。
参加者を言語で分けると整理しやすく、使用言語は、英語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、がほとんどで、まさにヨーロッパの縮図といった様相を呈しています。参加者は大半がマルチリンガルなので、ツアーの基礎説明などはいつも英語:スペイン語(7:3)で完結。
ベアウィークとベアクルーズの開催地の関係上、英語とスペイン語を理解できる場合に最大限の娯楽を享受できるという構図が浮かび上がってきます。
ベアウィークを追随する地域のベアウィーク/イスラエル
プロビンスタウンやシッチェスのベアーウィークは世界最大規模ですが、それ以外の地域でも小規模なベアーウィークが開催されており、中でもメインイベントはコンテスト形式で誰が一番モテるかを決めるというもの。ベアウィーク開催中のクラブイベントのチケットに投票用紙がついていて、イベント中に投票します。AKBの総選挙のような仕組みです。
写真は第2回イスラエルベアウィークで優勝者が決まった時の様子です。優勝者は「Mr. Bear Israel」と書かれたタスキが贈呈されます。写真右端は、地元で有名なドラァグクイーン「Ziona Patriot」さん。「Zion=シオン(イスラエル建国思想・シオニズムの語源)」「Patriot=愛国者」というイスラエルらしいネーミングです。あえて日本語で表現するなら「靖・国子」みたいなシブい響きがあるように感じます。
なお、優勝者はタスキを着用して各国の熊系イベントに参加するのがステータスのようで、ゲイイベントでそういった方を実際に見かける場合があります。見た人にとって「この国もベアウィークあるんだ」とわかるので、結局はいい宣伝になります。優勝するとゲイイベントにも呼ばれるので、本人にとっては芸能活動の一貫も兼ねていると言えるでしょす。
地域レベル(比較的小規模な)のベアウィークはヨーロッパに多く、ドイツ、イギリス、スペインが特に活発です。中でも1984年に発足したとされるドイツ・ケルンのベアコミュニティ『Bartmänner Köln』は世界初のクマ専ゲイコミュニティと言われており、これを引き合いにケルン=ゲイタウンと考えられている場合もあります。なお、世界各国のクマ専イベントに欠かせないベアーフラッグですが、このデザインはアメリカのワシントンD.C.で誕生したとされています。
ハードコアながら注目度が高い「フォルサムヨーロッパ」
つづいては、ハードコアとされるBDSM系娯楽について紹介します。まず、BDSMとは、「Bondage(拘束)」「Discipline(調教)」「Sadism(サディズム)」「Masochism(マゾヒズム)」の頭文字をとった言葉で、日本でもよく聞く「SM」の正式名称とも言えます。
日本でいう「SとM」は英語圏では「DとS」で、「Dominant=支配する側」「Submissive=支配される側」という意味があります。ただし日常会話では絶対に使わない卑猥な意味をもつので、日本のポップとも言える「SM」とは似て非なる使い方がされます。
1984年にアメリカ・カリフォルニア州のサンフランシスコにあるフォルサム通りで始まった「Folsom Street Fair(フォルサムストリートフェアー)」は、現在北米では最も注目される野外のBDSMイベントです。ヨーロッパでは「フォルサムヨーロッパ(Folsom Europe)」としてドイツのベルリンのゲイエリアで2003年より毎年開催されています。
野外で昼間から通りを占領して行うというイベントの規模で、レザー製品を扱う企業のブースや屋台などが出店しています。ヨーロッパのゲイイベントとしても有名で、ゲイの外国人観光客も多いです。
本来ならゲイのなかでもマイナーなはずのイベントがこれだけの盛り上がりを見せるので、一般人にも認知されるレベルとなっており、ベルリン市交通局がゲイのBDSM愛好者のイメージを起用することにも頷けます(前編参照)。確かにこの光景を見れば、「ベルリンは自由の街」と思ってしまわなくもないです。
緊縛を実演する緊縛師の一鬼のこ(はじめきのこ)。
余談になりますが、BDSMの「B(拘束)」では日本のプレゼンスが特に高く、『Shibari(縛り)』や『Kinbaku(緊縛)』として業界内では世界的に高く認知されているようです。縛りはアーティステックで緊縛は性的な要素が加わる場合が多いとされますが、これらは縄を使った日本のアートという文脈で紹介されることもあります。
ヨーロッパのゲイツーリズムの名所「ヤンボセンター」
ヨーロッパのゲイツーリズムで忘れてはいけないのが、スペイン・カナリア諸島のマスパロマスにあるショッピングセンター「ヤンボセンター(Yumbo Center)」です。あくまでもショッピングセンターとして、マスパロマスで老若男女に人気の総合娯楽施設です。しかし実際にはゲイの娯楽施設が大半を占めます。
マスパロマスはドイツ・北欧・イギリスからの観光客が圧倒的に多く、ドイツ語が通じるゲイバーも複数存在します。ヨーロッパの年配のゲイにも人気のバカンススポットです。全体的にやや淫靡な気配があり、なんとなくタイのナナプラザという歓楽街に雰囲気が似ています。しかしヤンボセンター自体の治安はよくてほぼゲイ専用なので、世界的に珍しい場所と言えます。
ヤンボセンターでは各所で、ゲイアートの巨匠「トム・オブ・フィンランド(Tom of Finland)」による絵を採用したデザインを見かけます。これはヨーロッパのレザー系ゲイバーなどでも使われる場合があります。
トム・オブ・フィンランドはゲイアート界の手塚治虫のような人物で、筋骨隆々なゲイ男性の性的描写をすることによって軟弱なゲイのステレオタイプ覆した、ゲイアートの先駆者として知られる重要人物です。
ゲイアートを通じて世界に影響を与えた貢献が評価されており、特にゲイ男性のファッションに強い影響を与え、同時期に活躍したフレディ・マーキュリーのファッションは彼の作品に影響を受けていると言われています。
現在ではフィンランドを代表する文化人としてヨーロッパで認知され、2014年にはフィンランド政府所有の郵便機関がトム・オブ・フィンランドの記念切手を発行。2017年には映画化され話題となりました。それだけでなく、日本の漫画界にも影響を与えています(後述します)。
カナリア諸島のマスパロマス観光はヤンボセンターを中心に展開していると言っても過言ではなく、ゲイ向けの宿泊施設も複数存在します。近くには一般観光客も訪れるヌードビーチがあり、その一角はゲイヌードビーチです。
スペインを中心に展開するゲイホテルのチェーン「アクセルホテル(Axel Hotel)」は、スペインのマスパロマス、イビサ、バルセロナ、ドイツのベルリン、アメリカ・フロリダ州のマイアミにもあります。
ヨーロッパでは、ドイツとスペインに目立つゲイ娯楽が集中していることがわかります。
最先端かガラパゴスか。ゲイ娯楽における日本のプレゼンス
あくまでもマイナーコミュニティが盛り上がっている一部地域にすぎませんが、世界的に注目されるイベントが行われて、かつ現地の娯楽も充実しているという意味では、ヨーロッパとアメリカがゲイ娯楽の最高峰と言えます。アメリカに関しては一国でほぼ全て揃うので、充実度が圧倒的です。
では一方で、日本ではどうなのでしょうか。
日本のゲイ漫画界の存在感は圧倒的
2019年にはイギリスの大英博物館で世界最大規模の展示が予定など、世界的にも認知されている日本の漫画ですが、これはゲイ漫画でも似たような現象が起こっています。
ヨーロッパやアメリカのゲイ向け総合アダルトショップや、アダルトショップではないLGBT向け本屋などではよく「田亀源五郎(たがめげんごろう)」や「児雷也(じらいや)」の漫画が置いてあります。2016年にドイツ・ベルリンのゲイ博物館で開催された「ゲイの漫画展」では「日本のゲイ漫画」の特設コーナーが設けられました。なお、ゲイ漫画で圧倒的に認知度が高いのがトムオブフィンランドと田亀源五郎です。
個人的な印象ではありますが、日本のゲイ漫画家には「まず名前が挙がる3人」が存在していて、「田亀源五郎」「児雷也」「戎橋政造(えびすばしせいぞう)」の3人が御三家のようなイメージがあります。アニメ好きな外国人が「ワンピース」「ナルト」「ブリーチ」を知っているように、ゲイ(特にクマ専)男性で上の御三家を知っている人は実際によくいます。発音しにくいから名前こそパッと出てこないものの、ビジュアルイメージは確実にこの3人のどれかの作品を指してゲイ漫画の話をしている方もいます。
日本のクィア(LGBTQのQ)やフェミニストのアーティストのコンテンツを取り扱う、アメリカ・ニューヨークの「MASSIVE GOODS」というファッションブランドは、田亀源五郎や児雷也、アーティストのろくでなし子の作品がデザインされたグッズを取り扱っています。これらの商品を身につけたゲイの方をアメリカやドイツのゲイイベントで見かけることがあります。田亀源五郎や児雷也のイラストは今でもアングラなゲイ漫画ですが、アングラゆえに、そのビジュアルが一部のコミュニティの中では世界的に広く認知されています。
NHKで放送された田亀源五郎原作のドラマ『弟の夫』
なお、田亀源五郎はあくまで「ゲイ・エロティック・アーティスト(Gay Erotic Artist)」であり、トムオブフィンランドを日本で初めて紹介した人物とされています。そんな彼の作品は本来はハードコアな性的描写が多いですが、2014年に発表したエロティックではないゲイを描いた漫画『弟の夫』は国内外で高く評価され、2018年にはNHKのプレミアムドラマとして日本の一般娯楽にまでリーチしています。この動きについて、イスラエルの新聞社「ハアレツ(Haaretz)」は「日本の最重要ポルノ漫画家が家族向け漫画を発表」という旨の記事で取り上げています。
セーラームーンに仮装したイタリアのゲイのボーイズバンド
また、セーラームーンの仮装はゲイの間ではそこそこ認知されており、ハロウィンなどでも見かけることがあります。イベントや地域のゲイ娯楽はアメリカとヨーロッパがリードしつつも、日本のコンテンツのプレゼンスは異常に高い。これはLGBTに限ったことではないように思います。
日本には日本のドラァグクイーンが昔からいた?
ゲイ娯楽がある国にほぼ確実にいるドラァグクイーンですが、どの国でも芸名が英語でパフォーマンスはアメリカ音楽で行われることが多いです。ヨーロッパではショー自体も英語で行うクイーンも少なくありません。そんなドラァグクイーンを扱ったアメリカのテレビ番組「RuPaul’s Drag Race」はドラァグクイーンの間では国を超えて人気で、LGBTの文脈を越えた人気番組としても知られています。
ドラァグクイーンに関して、日本人の私からすると「日本のお茶の間にはマツコデラックスというのが何年も前からいて、そのはるか昔から女形という伝統芸能(歌舞伎の女役)があるんだけどな」と思うこともあります。
アメリカでは2016年に、オープンリーレズビアンのエレン・デジェネレス(黒柳徹子のような方)がオバマ大統領より大統領自由勲章を授与されて話題になりましたが、日本では政府が国宝に認定した女形はすでに5人います。
女形を演じる坂東玉三郎
「女性を演じるパフォーマンス」という意味で女形は紛れもなくドラァグクイーンだと個人的には思うのですが、最も概念が通じそうなゲイ娯楽であるドラァグクイーンの文脈で女形が語られることはありません。部分的にではありますが、ある意味で日本は最先端かもしれないのに、LGBTの文脈では認知されていないように思います。ガラパゴス化と全く同じではないにしても、それを連想させるような現象が起こっています。
ゲイ娯楽においてアメリカはなぜ目立つのか
そもそも、イベントとその開催地が切り離せない以上、観光の要素が絡むため、距離や言語が盛り上がりに直結するのは仕方ないことだと言えます。アメリカは人口が多く英語が公用語なので国内外から多くの人を集めやすく、たとえ一部のコミュニティといえど結果として大規模になる土壌があります。
しかし、観光要素を除いても、ゲイの娯楽文化、特に熊専ゲイ文化は、その流行りをアメリカが牽引している感があります。たとえば、言語のアドバンテージとして、ゲイコミュニティで世界的に人気の出会い系アプリの『Scruff』(180ヶ国以上からユーザー約1200万人が利用すると言われている)があり、これがアメリカ製。そのためあらかじめ用意された挨拶の定型文が英語のスラングであるため、これによって世界のゲイの間で英語のスラングが割と通じてしまうという現象が起こります。つまり、アメリカ人が母国語のスラングでジョークを言っても外国人に通じると言う現象が起こるのです。
ゲイコミュニティで使われる英語の例(What the Bears Can Teach Goldilocks | Frank Strona | TEDxProvincetownより)
これはつまり、やや強引な例えかもしれませんが、多くの日本人が知ってる「どんだけ〜!」というフレーズを外国人に言ってみたら「まぼろし〜!」と日本語で返ってくる。くらいのことが、アメリカのゲイコミュニティでは起こっているわけです。(「まぼろし〜!」はタレントのIKKOがよく言うフレーズの1つ)
流行りに合流させるのも上手いイメージがあります。アメリカのプロビンスタウンで行われた世界的カンファレンスの『TEDx』では 、「メインストリームの社会が熊専ゲイの文化から学べることは何か」 という内容のスピーチでゲイ男性が登壇しています。
たとえば、ゲイベアーカルチャーはコミュニティとしても機能しています。体型などを指して見た目で人をバカにするといった風潮は今でこそ批判されますが、こういった風潮はゲイコミュニティ内にも少なからず存在し、太った人や年配のゲイの方が肩身の狭い思いをするケースが皆無ではありません。そういった人たちのアイデンティティを擁護する居場所にもなるのです。
その「ありのまま自分を受け入れる」というメッセージは普遍的なものであり、それがメインストリームに繋がるアイデアとして、このスピーチは発表されています(日本だと、タレントの渡辺直美が発信する「自分らしさ」に通づるものも感じます)。身内の文脈すら世界的な潮流に合流させて一般化させるのが上手くて早い、アメリカらしい現象だなと私は思いました。しかも英語なので、世界中の人も共感しやすい。
それを踏まえると、アップデートを繰り返すことによって世界の流行りを牽引しているという意味で、アメリカは最先端と言えるように思います。しかし一方で、ゲイ漫画などの一部の文化に注目した時に成熟していて目立つという意味では日本も最先端だと思います。そこで世界最先端の国はどこか、あえて極論を述べると、「上書きの最先端にアメリカがあり、深掘りの最先端に日本がある」という見解になります。
とはいえこれは、世界に200近くある国の中のたった数カ国のゲイ観光の、個人的な思い出をまとめたにすぎませんが。
ゲイの文脈で日本を知る、異文化が合流するとき。
最先端の決着はついたのでここから先はもう脱線気味ですが、最後に一つだけ。
BDSMで『緊縛』の存在感があったりと、こう行った現象を、あくまでも日本人として一方的に見た場合、「時代が日本に追いついてきたのでは」とすら思える時があります。
ふんどしの締め方を説明するゲイのユーチューバー
日本が好きだから日本の文化を知ったのではなく、BDSM→緊縛、ゲイアート→田亀源五郎、エッチな下着→ふんどし、など、ゲイだから日本文化に着地している構図が見え隠れしている気がします。ふんどしがゲイのユーチューバーに真面目に紹介されているのを見ると、個人的には、「そこから火がつくのか」という驚きと「やっと発掘された」という想いが相まって、感慨深くすらあります。
東京でふんどしパーティが盛り上がっているとき、そんなことを知るよしもない人たちが地球の裏側でアンダーウェアーパーティが盛り上がっている。一周回って、なんか人間って考えることは同じだなと、普遍性すら感じるときがあります。そしてその普遍性があるからこそ、異文化が合流可能なのでしょう。
個人的に、「あるフォーマットで解釈可能な時に異文化は合流する」と考えているのですが、BDSMのフォーマットで『緊縛』、ポルノグラフィティでゲイ漫画、セクシーアンダーウェアーでふんどし、というように、西洋のフォーマットで注目した時に成熟していたものが日本のコンテンツだったので”世界的に”発掘されたような気もします。特にふんどしに関しては、女性はふんどしをはかないので、ゲイだから合流できた異文化かもしれません(流行っているわけではありませんが)。
何はともあれ、アメリカやドイツの最先端なゲイイベントでふんどしを着けて踊り狂うゲイに会える日もそう遠くはないのではと、個人的には楽しみにしています。長くなりましたが、そろそろこのへんで締めようと思います(ふんどしだけに)。
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編集:ネルソン水嶋
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