アフリカ・ルワンダの朝食を調べたら節約して食べていなかった

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※本記事は特集『海外の朝食』、ルワンダからお送りします。

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朝食は食べない!? ルワンダの食事頻度

みなさん、朝は何を食べてますか? 日本だとご飯派、パン派、シリアル派などなどいろいろだと思いますが、ルワンダで朝食をちゃんと食べる人は稀なんです。

ぼくは青年海外協力隊として、ルワンダの地方にあるムシャセクター(Musha sector)という農村でボランティアをしています。その一環で「この地域の人たちはどんな暮らしをしているんだろう?」と気になって家庭調査をしてみました(調査期間:16年7月~12月)。その数130軒。

ルワンダの家を一軒一軒まわりました。

家庭調査をする中で「食事をきちんと摂れていない人が多い」と気づき、途中から「一日に何回ご飯を食べますか?」という質問を加えました。その結果がこちら。

約9割の家庭が1日1食。(筆者作成)

なんと約9割の家庭が1日に1回しかご飯を食べていないんです。1日2食の家庭ですらわずか1割。日本の標準とおなじ1日3食という家庭はゼロでした。なかには「週に2回しか食べていない」という家庭も(週2食だとかなり深刻ですが、見た限りでは健康そうだったので、もしかしたら「ひどい状況を訴えればお金や食料がもらえる」と思われて「盛られた」という可能性もなくはないです)。

「なんでそんなにご飯を食べないの?」と思いますよね。「食べない」のではなく、お金がないから「食べられない」んです。だから、「なんとかこの地域の人たちがもっと豊かな生活を送れるように力になりたい」と思いながら活動しています。

とは言え、「死ぬほど困っている」という人は見たことがありません。現金収入が少なくても、自給自足や「うちはキャベツを作ってるから、おたくの人参と交換してよ」といった物々交換で生活が成り立っているんですね。この地域では畑をもっている家庭も多いですが、畑のない家庭はよその家で耕すのを手伝って、それを仕事にしています。給料は半日働いて、700~800ルワンダ・フラン(およそ100円)。

そんなルワンダ農村部の人たちは、どんな食生活を送っているのでしょうか。

 

朝食は栄養抜群なおかゆ・イギコーマ

朝食を食べない人が多いとお伝えしましたが、そんななかでもポピュラーな朝食メニューは、「イギコーマ(Igikoma)」と呼ばれるおかゆ

イギコーマと呼ばれるおかゆ。

モロコシ、大豆、トウモロコシなどの粉を水に溶かして茹で、砂糖を加えたものです。食感はドロッとかつザラッとしています。ほんのり甘くて、決してまずくはありません(全力でおいしいとは言えない)。

タンパク質、亜鉛、鉄、ビタミンB・Eなど栄養豊富! 食物繊維もたくさん入っているため、満足感があり、血糖値を保つ効果も。炭水化物たっぷりなので、食事回数の少ないルワンダでも効率的にエネルギーを補給することができます(参考:Igikoma: The wonder dish – The New Times | Rwanda)。ボーディングスクール(寮付きの学校)でも、イギコーマを朝食代わりにするところが多いようです。栄養豊富で腹持ちもいいので子どもにもぴったりですね。

 

激あま国民的ドリンク! イチャーイ

家庭調査では「朝食は食べないけど、代わりにお茶だけ飲んでるよ」という人もいました。ルワンダには「全国民が毎食飲む」と言っても過言ではないお茶があります。それが「イチャーイ(Icyayi)」。

左:イチャーイ、右:アマンダ―ジ(サーターアンダギーのような揚げドーナツ)

アリメンテーション外観。

日本を含めほかの国でも飲まれる「チャイティー」が一般的で、職場の休憩時間にも、家庭での食事の後にも必ず登場します。写真のように「アリメンテーション(Alimentation)」と呼ばれる休憩スペース付きのよろず屋さんでは、1杯100ルワンダ・フラン(およそ10円)で飲むことができます。サーターアンダギーのような揚げドーナツ、「アマンダ―ジ(Amandazi)」も握り拳くらいの大きさで1個100ルワンダ・フラン。

イチャーイで特徴的な点は、レモングラスを入れてお湯を沸かすところ。

レモングラスを入れるイチャーイ(チャイティー)。

このレモングラス、ルワンダでは「チャイチャーイ(Cyayicyayi)」と呼ばれています。かわいい。ちなみに紅茶のパッケージに描かれてるゴリラは、ルワンダの象徴的な動物。もちろんその辺でゴリラがウホウホ言いながらさまよっているわけではありませんが(そんなワイルドじゃない)、野生のゴリラを間近で見れるトレッキングツアーが国の主要な観光資源になってるんです。

お茶に話を戻すと、これに砂糖をたっぷり入れるのがルワンダ流。「私はルワンダでのあなたの母よ」とぼくをかわいがってくれているお母さんの家では、マグカップ1杯のイチャーイに対して、ティースプーンの1.5倍はあると思われる巨大なスプーンで砂糖を5杯も入れています。

ルワンダの家族と。

ぼくは当初砂糖を1~2杯しか入れていなかったので、「ノリ! それじゃ少ないわ! おいしくないでしょ!」と言われ、マグカップを奪われ、砂糖をガシガシ足されていました。そんなぼくも、「日本人はそんなに砂糖を入れないんだよ」と丹念に説明をした結果、いまでは平和な甘さのイチャーイを飲めるように。好みの甘さにすると、あたたかいレモングラスの香りがふんわりと身体をリラックスさせてくれてとっても美味しいんです。

ちなみに、なぜそんなに砂糖を入れるのか気になって、お母さんに「そんなに砂糖を入れると体に悪いよ?」と言ってみました(間違った栄養学の知識が普及している可能性もあるので)。すると「体に悪いのは分かってるけど、美味しいからいいの。私はお酒も飲まないしタバコも吸わないからいいでしょ」という返答が。お酒とタバコはまた別問題だしやっぱり健康は心配だけどな……。本人が納得してるならまあいっかと思い、引き続きイチャーイをいただきながらルワンダの家族と団欒を楽しんだのでした。

ルワンダの朝食事情をまとめると、

  1. 朝食を食べない人(1日1食)も多い
  2. 朝食の代わりに、おかゆのような「イギコーマ」や「イチャーイ」と呼ばれる紅茶を飲む
  3. 「イチャーイ」には砂糖をたくさん入れて飲むのがルワンダ流!

 

これはあくまでムシャセクターという農村部において筆者が見た事例ですので、当然ルワンダすべての家庭がこのような食習慣というわけではありません。首都キガリでルワンダ人の家庭に1ヶ月ほどホームステイさせてもらったときは、毎朝パンと「イチャーイ」でした。特に都市部や富裕層の間では、西洋的なライフスタイルもすこしずつ浸透してきているようです。

ということで、「ルワンダの朝食」がテーマの今回は「イギコーマ」と「イチャーイ」を紹介しました。ルワンダ風チャイティーはレモングラス(と、できればゴリラ紅茶も!)を入れればつくれるので、みなさんも癒やされてみてはいかがでしょうか?

 

※現在、竹田さんは青年海外協力隊として活動中のため、ボランティアとして執筆いただいております。

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この記事を書いた人

タケダ ノリヒロ

タケダ ノリヒロ

日本の大手食品メーカーで3年勤務した後、退職して青年海外協力隊としてルワンダの農村で2年間活動。18年夏から当国でスタディツアーを運営。身長と体重と生まれた年がテイラー・スウィフトと同じです。個人ブログ『タケダノリヒロ.com』(月間PV12万)/ルワンダ情報専門サイト『ルワンダノオト』編集長/Twitterはこちら

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